2019 Fiscal Year Annual Research Report
Evaluation of bone as a hematopoietic macroenvironment
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18H02837
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
片山 義雄 神戸大学, 医学部附属病院, 講師 (80397885)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 骨髄環境 / 造血 / 骨組織 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、骨髄中局所の微小環境の重要性とは別に、骨髄造血システム全体を完全に覆っている骨組織による造血大環境 macroenvironment の存在を新しく提唱し、それを具体的に証明することを目的とする。 まず、プロスタノイド制御装置としての骨組織の評価について、これまでの我々の研究で、骨髄成熟好中球が骨髄での主たるPGE2産生細胞であり、その産生トリガーが交感神経シグナルであることが明らかとなっているが、骨髄全体から見た制御機構としては産生されたPGE2を分解する系も同様に重要である。主たるPGE2分解酵素である15-PGDHのノックアウトマウスの凍結精子は研究室に搬入できているが、個体復元にまでは至っていない。他の研究項目の進捗状況も鑑みて個体復元とその解析にエフォートを振り分ける予定である。骨髄酸素濃度感知受容体としてのTRP1Aの機能については、TRPA1欠損マウスでのサイトカインG-CSFでの動員効率が上昇するデータを得ている。大きな変化ではないが、この上昇は、本研究課題の派生研究として骨組織特異的にリン代謝ホルモンとして知られるFGF23を欠損させたconditional knockout マウスでの動員効率とほぼ同様であり、今後、TRPA1による酸素感知機構と骨組織埋没骨細胞でのFGF23の関連にも注目して研究を広げて行く予定である。次に、造血大環境破綻の造血器腫瘍進展における役割の解明であるが、マウスMDSモデルであるvav-NUP98/HOXD13トランスジェニックマウスの長期飼育に着手し、1年以上の長期に飼育できることを確認できた。今後骨髄脂質などの解析を進める予定である。ストレス性PGE2産生最終合成酵素であるmPGES-1の欠損マウスとこのMDSマウスの交配で2重遺伝子改変として長期飼育も開始しているが、現在のところmPGES-1欠損MDSで生存期間が短くなる可能性がpreliminary data として出て来ている。今後十分なマウス数で再現性とその理由について確認していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
15-PGDHノックアウトマウスの個体復元と解析に着手できておらず、この部分の進捗が十分でない。一度試みた個体復元では目的を達成できておらず、今後、再挑戦する予定である。一方、派生研究として行っていた、骨組織埋没骨細胞特異的FGF23欠損マウスでの造血前駆細胞動員は促進というやや予想外の結果を得、これとTRPA1との関連を検討する新たな研究方針が生まれている。
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Strategy for Future Research Activity |
概要に記載している、PGE2分解酵素、酸素濃度感知機構、造血大環境破綻の造血器腫瘍進展における役割の3つの柱に関して、PGE2分解酵素についても進めつつバランスとしては後者2つに注力して研究成果を具体化していく。また派生研究としての骨組織でのリン代謝ホルモン産生とその骨髄大環境への影響についても具体化、論文化していき、更に酸素感知機構との関連について新たな方向性として研究を進める。
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