2018 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18H02844
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
池添 隆之 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (80294833)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | トロンボモジュリン |
Outline of Annual Research Achievements |
トロンボモジュリンの5番目の上皮細胞増殖因子様領域(TME5)は40アミノ酸から構成され、2つのS-S結合で3つのループ構造をもつ。われわれは、TME5が発揮する血管内皮保護作用や血管新生作用がどのループに存在するのかを検証するためそれぞれのループを形成するアミノ酸を化学合成した(TME5A, TME5B, TME5C)。臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)の培養液中にそれぞれの合成アミノ酸を添加すると、興味深いことにTME5Cの存在下でHUVECの細胞増殖活性が増した。一方で、TME5AとBにはそのような活性は認められなかった。免疫抑制剤による細胞障害からHUVECを保護する作用もTME5Cのみに認められた。この19アミノ酸からなるTME5Cは血液凝固系に作用しないことも、正常人の血漿にTME5Cを添加後血液凝固時間が延長しないことから確認できた。マトリゲルにTME5Cを混じてマウスの皮下に移植すると、3日後に血管増生が確認できた。さらに、マウスに抗がん剤と放射線照射を行い、肝類洞閉塞症候群(SOS)を作製した。このモデルにTME5Cを投与することでSOSを予防することに成功した。出血に関する副作用は確認されなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
TMが内皮細胞保護活性を発揮する構造を40アミノ酸から19アミノ酸まで突き詰めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
19アミノ酸からさらに1アミノ酸ずつ短い構造物を化学合成して、その内皮細胞保護活性を検証していく。また、アミノ酸を他のアミノ酸に置換することで、より強力な内皮細胞保護活性が得られないか検証する。
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