2019 Fiscal Year Annual Research Report
"Chronoallergology" Research
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18H02848
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
中尾 篤人 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (80317445)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 概日時計 / アレルギー / 老化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、生物の約24時間周期性の生理活動を司る「概日時計」と「アレルギー」の関係を明らかにすることを目標とする。平成31年度(2019年)は、概日時計に影響する“老化”とアレルギーの時間依存的病態との関係に関する研究を平成30年度(2018年)から引き続いて行うと同時に、「概日時計」と「アレルギー」との関係について申請者および国内外の他の研究者による成果をまとめ、総説として発表した(Frontier Immunol 2020 in press)。 老化がマスト細胞概日時計リズムとI型アレルギー反応に与える影響については、8週齢と50週齢の時計遺伝子Period2とルシフェラーゼ遺伝子が融合したマウスからそれぞれ骨髄由来培養マスト細胞(BMMC)を作成し8週齢のマスト細胞欠損マウス皮下に移入しマスト細胞概日時計リズムを可視化する実験系を構築した。その結果、50週齢マウスのBMMCを移入した実験系ではマスト細胞のPeriod2発現の概日リズムの振幅の低下が認められ、50週齢マウス由来BMMCを移入したマウスでは8週齢マウス由来BMMCを移入したマウスよりPCA反応の概日リズムの強さが減弱していた。これらの知見の分子メカニズムを明らかにするために8週及び50週齢マウスから作成したBMMCにおいて発現変化する遺伝子を網羅的に解析し、現在、遺伝子Xが50週齢マウスにおける時計遺伝子群の振幅低下に関わる因子の候補としてその機能解析を行っている。 また、「概日時計」と「アレルギー」との関係に関する総説については、概日時計がアレルギー発症に関わる大事な2つの生物学的メカニズムである「バリア機能」と「Th2免疫応答」に強く影響する因子であることをまとめ、概日時計とアレルギーの密接な関係並びに概日時計の機能低下がアレルギーの発症のリスクファクターであることを世界で初めて提唱した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概日時計と老化、およびそれらとアレルギー反応との関係については、それらを繋ぐ新規の遺伝子候補を同定することができるなど、順調に進んでいる。老化がアレルギーに及ぼす影響については不明な点が多く、概日時計の視点から分子レベルから解明しようとする研究は、この分野に大きなインパクトを与えるものと考えている。また総説として、概日時計とアレルギーの総説について新たな考え方(「概日リズムの失調はアレルギー疾患発症のリスクファクターである」)を提唱することができた。現代社会は、睡眠障害、ストレス、過食、夜勤などの不規則な生活様式といった概日リズムを失調させる要素に満ちており、この総説は、現代社会に生きるアレルギー患者の臨床に新しい視点をもたらし、診断や予防・治療に貢献する。
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Strategy for Future Research Activity |
概日時計と老化、およびそれらとアレルギー反応との関係を繋ぐ新規の遺伝子候補の機能解析を進め、 老化が概日時計を介してどのようにアレルギーに影響するかについて新しい研究成果を得る予定である。 また、それらの知見を踏まえて、アレルギーの創薬について新たな知見を得たいと考えている。 その後は、老化が及ぼすアレルギー(免疫)への影響について、より包括的な視点からの考え方について 総説としてまとめ、世界に提唱したいと考えている。
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Research Products
(1 results)