2020 Fiscal Year Annual Research Report
Role of protein O-GlcNAcylation in physiology and diabetes
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18H02862
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
前川 聡 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (00209363)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 糖尿病 / 糖尿病合併症 / 糖鎖修飾 |
Outline of Annual Research Achievements |
外的な栄養状況の変化を探知するための細胞内栄養シグナルセンサーの一つO-GlcNAc修飾に着目し、OGlcNAc修飾の糖代謝並びに糖尿病性腎臓病における役割の検討を行った。①脂肪細胞特異的Ogt欠損マウスは対照マウスに比して、同等の摂餌量で肥満抵抗性を示すにも関わらず、耐糖能及びインスリン感受性は悪化した。白色脂肪組織は高度に萎縮し、組織学的には脂肪滴の縮小と顕著な線維化を認めた。白色脂肪組織において炎症関連遺伝子発現の上昇と脂肪酸合成関連遺伝子発現の低下を認め、血清レプチン、アディポネクチン濃度は有意に低下した。②血管内皮細胞特異的Ogt欠損マウスは、高血糖状態において糖尿病合併症にみられる網膜新生血管の増生や尿蛋白の変化について2群間に差を認めなかった。高脂肪食摂餌群では欠損マウスで体重増加が抑制され、その結果耐糖能やインスリン抵抗性の改善がみられた。基礎代謝は両群間に差を認めず、腸管からの糖吸収にも差を認めなかったが、腸管からの脂質の吸収が有意に抑制されていた。③腸管上皮細胞特異的Ogt遺伝子欠損マウスでは低体重、血糖低下をきたし、経口ブドウ糖負荷試験にて血糖上昇が抑制された。この現象を説明しうる機序として小腸でSGLT1発現が低下していることを見しだした。④共同研究者であるHanover JA博士(NIH)が作製したOGA-Floxマウスとポドサイト特異的Creマウスとの交配を行い、ポドサイト特異的OGA欠損マウスを作製し、その表現系を解析した。ポドサイト特異的OGA欠損マウスは野生型マウスに比べても正常の生存率を示し、通常の飼育状況においては特に大きな異常を認めることはなかった。以上より、OGlcNAc修飾は各代謝臓器における代謝制御に関わる可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通り進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
遺伝子改変マウスを用いた検討を中心に、O-GlcNAc修飾のLoss-of-functionとGain-of-functionが各臓器および組織 (白色脂肪肝細胞、血管内皮細胞、小腸上皮細胞、腎臓)の機能維持にどの程度関与するかを明かとする。 ①Villin-Cre マウスを用い、小腸上皮細胞特異的OGT欠損マウスを作製し、その表現系を検討する。現時点で、小腸上皮細胞特異的OGT欠損マウスを用いた検討で、OGTが小腸での糖輸送体の発現レベル、ブドウ糖取り込みに影響しうる可能性を見出している。②Adiponectin-Creマウスを用いて作製した脂肪組織特異的Ogt欠損マウスでは、精巣上体脂肪および皮下脂肪組織における脂肪重量が減少し、耐糖能異常が悪化するという表現系が確認されている。同マウスのさらなる表現系解析、ならびに、単離培養を用い、白脂肪細胞の糖鎖修飾不全が脂肪分化異常を引き起こす分子機序を解明する。 ③血管内皮特異的Cre発現マウス (VEcad-BAC-CreERT2)を用い、内皮細胞特異的OGT欠損マウスを作製したところ、脂肪重量の減少を認めた。同モデルマウスを用いて、血管内皮糖鎖修飾とし脂肪組織形成の細胞間クロストークを検討する。 ④腎糸球体上皮細胞特異的Cre発現マウスを用い、糸球体上皮細胞特異的Oga欠損マウスを作製し、腎におけるO-GlcNAc修飾の過剰が糖尿病性腎臓病に及ぼす影響を検討する。
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Research Products
(6 results)
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[Presentation] 脂肪組織におけるO-GlcNAc修飾は肥満形成過程における脂肪組織増大に必須である2020
Author(s)
中本 明紀子, 大橋 夏子, 森野 勝太郎, 井田 昌吾, Perry Rachel, Shulman Gerald, 岡本 拓也, 柳町 剛司, 佐藤 大介, 藤田 征弘, 卯木 智, 前川 聡
Organizer
第63回日本糖尿病年次学術集会
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