2018 Fiscal Year Annual Research Report
Development of the core technologies of regenerative therapy with human somatic stem cells for cirrhosis and liver failure
Project/Area Number |
18H02866
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
鄭 允文 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (80404995)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大河内 信弘 筑波大学, 医学医療系, 客員教授 (40213673)
高井 まどか 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (40287975)
高橋 一広 筑波大学, 医学医療系, 講師 (80794528)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | オルガノイド / 肝不全 / ヒト体性幹細胞 / 再生医療 / 細胞移植 |
Outline of Annual Research Achievements |
羊膜幹細胞(ASC), 間葉系幹細胞(MSC), 血管内皮前駆細胞(EPC), 造血幹細胞(HSC)の単離を行った。ASCにおいて、未分化マーカーの広い発現を確認した。また、Tra1-60やTra1-81などの未分化マーカーは、一部の細胞でのみ発現していた。またALP染色においても、一部の細胞のみが陽性であった。ASCのRNAシークエンスによる網羅的発現解析によって、ASCとES細胞、あるいはASCと肝細胞に共通する遺伝子発現も複数発見された。羊膜については肝分化能や肝細胞との類似性の報告はあるものの、網羅的な解析が行われたことがなく、この結果は肝分化誘導の基礎となるものである。 続いて、機能的な肝オルガノイドの作成を行った。特殊な3DパターンプレートにASCを播種することで、細胞は球状のスフェロイドとなり、生存を保ちつつ細胞の増殖スピードを抑え、長期培養可能であることが確認された。作成した細胞塊は、再度2Dプレートに播種することで、活発に増殖することを確認した。また、羊膜上皮細胞の基礎培養培地においても、3D培養において部分的に肝遺伝子発現の上昇を認めた。 細胞培養による肝分化プロトコルには複数の報告があり、上述の3D培養と組み合わせてその肝分化効率を検討した。特にEGFとDexamethasoneを組み合わせた分化プロトコルにおいて、肝遺伝子発現の上昇が最も効率的に生じることが確認された。 更に共培養してオルガノイドを作成すると、それぞれの細胞は局在を持った立体構造を構築した。また、ICGの取り込み・排泄や、グリコーゲンの貯蔵といった肝機能も獲得した。 移植実験に関しては、重症免疫不全・肝障害ラットに対して、ヒト肝細胞が移植可能であることを確認した。ラットに対するヒト肝細胞移植は今までに報告のない実験系であり、今後のオルガノイド移植の基盤となるものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ASCの特性解析は完了している。肝オルガノイドの作成はできているが、肝機能に関してはまだ限定的であり、肝分化プロトコルの調整がまだ必要であると考えられるため。
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Strategy for Future Research Activity |
より機能的な肝オルガノイドの分化プロトコルの作成については、ASCのRNAシークエンスによる網羅的解析からも、感受性の見込まれる肝分化因子の候補が上がっており、同分子を含むプロトコルを試していく。これと並行して、vivoでの重症免疫不全・肝障害ラットへの移植実験も進めていく。現状において、肝細胞移植の実験系は確立してきており、ヒト羊膜細胞の移植、生着の確認の実験を行っていく方針である。
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