2019 Fiscal Year Annual Research Report
食道癌における血液循環癌幹細胞の免疫応答回避機構解明による転移制御法の確立
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18H02878
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
藤井 努 富山大学, 学術研究部医学系, 教授 (60566967)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大永 崇 富山県産業技術研究開発センター, その他部局等, 副主幹研究員 (10416133)
奥村 知之 富山大学, 附属病院, 講師 (10533523)
吉岡 伊作 富山大学, 附属病院, 特命講師 (30436430)
渋谷 和人 富山大学, 附属病院, 助教 (50636248)
渡辺 徹 富山大学, 附属病院, 助教 (50779486)
平野 勝久 富山大学, 学術研究部医学系, 助教 (40819405)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 静止期癌幹細胞 / 血液循環癌幹細胞 / 食道扁平上皮癌 / CTC / T細胞受容体遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に続いて、食道扁平上皮癌切除標本を用いた静止期癌幹細胞の同定分離を行った。食道扁平上皮癌切除標本より組織を採取し初代培養細胞を作成、無血清培地を用いた培養細胞樹立と免疫不全マウス皮下移植を介した細胞採取を行った。採取した癌細胞を用いて、低親和性神経成長因子受容体(p75NTR,CD271)とDNA選択的染色試薬を組合せp75NTR陽性/G0G1細胞をセルソーターを用いて分離し静止期癌幹細胞の同定を試みた。前年度は、癌幹細胞の同定が不可能であったため、免疫不全マウス皮下移植モデルを介して採取した細胞の培養条件を再設定し、細胞採取を再施行した。良好な結果を得た。さらに、コロニー形成能、spheroid形成能、マウス皮下移植腫瘍形成能および抗癌剤耐性を評価した。また、癌細胞の培養を介さずに癌組織から直接、癌幹細胞や腫瘍浸潤リンパ球などの間質細胞を採取する工程や次項目のCTCの検出を視野に入れ、EGFRやPLS3などEMTによって変化しない上皮マーカーをEpCAMに置き換えて細胞を分離し、より高い癌幹細胞形質をもつ細胞フラクションを検出するマーカーセットを探索した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度の遅れを取り戻し、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、「フローサイトメトリーを用いたCTCの検出と分離」と「癌幹細胞反応性T細胞の単一細胞レベルでの分離と特異的抗体遺伝子およびT細胞受容体(TCR)遺伝子の取得」を中心に検討をすすめる予定である。 食道癌切除標本の症例について、術前の末梢血液を採取しフローサイトメトリーによってp75NTRの発現を検出する。これまでに血液に混和した培養細胞を用いた予備実験によって遠心分離媒体を用いた単核球層分離とゲート設定を行い、癌細胞の検出精度を確認している。本研究ではEpCAM/p75NTRにて検証したマーカーを組合わせ、フローサイトメトリーを用いて標的細胞を検出し臨床病理学的悪性度との相関を検証する。とくに、EGFRやPLS3など、EMTによって変化しない上皮マーカーをEpCAMに置き換えた検出を同時に行い、症例の臨床病理学的因子との相関を比較することで転移責任細胞分画の検出精度を高める。さらに、申請者らは既にヒト血液中リンパ球の1/1000以下といわれる癌抗原特異的キラーT細胞1個から抗体遺伝子やT細胞受容体(TCR)遺伝子を取得するシステム(hTEC10)を開発しており、癌部および末梢血液からCD8+T細胞をセルソーターを用いて分離、培養し分離した癌幹細胞および分離したCTSCと接触させたのち、癌幹細胞反応性T細胞を活性化マーカーであるCD137 およびPD-1発現をもとに単一細胞レベルで分離する。続いて、hTEC10システムを応用しTCR遺伝子を取得・増幅し、発現ベクターを作成し、末梢血T細胞に導入することで、癌幹細胞特異的キラーT細胞を増幅し、抗原特性を検証する。
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