2019 Fiscal Year Annual Research Report
腹水中exosomeをターゲットとした新たな治療法の開発
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18H02882
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
大辻 英吾 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20244600)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小西 博貴 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00448739)
有田 智洋 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00756794)
小松 周平 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任講師 (40578978)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | exosome / microRNA / 腹膜播種 / 消化器癌 / 腹水 |
Outline of Annual Research Achievements |
癌由来exosomeの機能阻害による細胞間情報伝達阻害により引き起こされる癌細胞の悪性形質の変化を包括的に解析検討を進めている。exosomeの阻害方法につ いては、分泌阻害について、exosomeの分泌に強く関わることが既に報告されているSMPD4とRAB27Aの2分子に着目した。nSMase2およびRab27をsiRNAを用いてノックダウンした胃癌細胞株において、分泌される exosomeに内包されるmiRNAの内、代表的なmiRNAであるmiR-16とmiR-21は、ノックダウンにより発現が低下しており、分泌が抑制されている可能性があることを確 認した。抑制効果はSMPD4よりもRAB27Aの方がより強かったため、RAB27Aをノックダウンした細胞の機能アッセイを行なったが、増殖能はあまり変化なく、浸潤能が低下することを確認した。RAB27Aは癌遺伝子という仮説のもと、臨床データでの解析を目的に癌組織での発現を評価したところ、逆に癌部で有意に低いという結果であった。RAB27Aの発現と腹膜播種と関係についても解析したが、仮設通りの結果は得られなかった。RAB27A以外のexosome分泌に関わる分子であるRAB27B、RAB35、Flot2に関しても同様に、癌部で低い結果となった。ここから得られる仮説としては、腫瘍の存在下において、癌よりも周囲組織から何らかの理由でexosome分泌が亢進している可能性が考慮される。RAB27Aのノックダウンにて浸潤能を抑制効果は確認できているため、マウス腹膜播種モデルを作成し、vivoで検証する準備を進めている。 exosomeの除去による腫瘍進展抑制効果については、昨年NUGC4を用いて行なった実験系を、exosome分泌量が多いことを確認できたMKN7を用いて、もう一度確認実験を行なっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
癌遺伝子と仮説を立てた、RABファミリーなどのexosome分泌に関わる分子が、手術で摘出した臨床サンプルでは軒並み癌部よりも非癌部で発現が高いという、仮説と逆の結果であった。RAB27Aのノックダウンでのexosome分泌抑制と浸潤能抑制効果は確認できているため、動物実験を進めていく予定。
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Strategy for Future Research Activity |
癌遺伝子と仮説を立てた、RABファミリーなどのexosome分泌に関わる分子が、手術で摘出した臨床サンプルでは軒並み癌部よりも非癌部で発現が高いという、仮説と逆の結果であった。しかし、これは癌の存在下において、周囲組織がexosome分泌を介して何らかの形で腫瘍の進展あるいは抑制に関わっている可能性が強く示唆される。周囲組織を介した抗腫瘍効果という視点でも検討を進めていきたい。 また、大腸癌など、他の癌腫でも同様の検討を進めている。
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