2019 Fiscal Year Annual Research Report
Parkinとミトコンドリア機能不全に着目した慢性痛の新規治療戦略
Project/Area Number |
18H02899
|
Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
天谷 文昌 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60347466)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐和 貞治 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10206013)
中川 貴之 京都大学, 医学研究科, 准教授 (30303845)
大橋 憲太郎 岐阜大学, 工学部, 准教授 (50332953)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | ミトコンドリア / 痛覚過敏 |
Outline of Annual Research Achievements |
ミトコンドリア機能不全は活性酸素の蓄積やインフラマソームの活性化により慢性疾患の原因となる。Parkinは老朽化したミトコンドリアをユビキチン化し処理することでミトコンドリア機能を維持する。本研究では慢性疼痛発症時の知覚神経におけるミトコンドリア品質管理におけるParkinの役割を調査し、Parkinの発現低下に伴うミトコンドリア機能異常が疼痛発症に果たす役割を解明する。2019年度には慢性疼痛モデルにおける一次知覚神経のミトコンドリア機能変化とミトコンドリア機能変化が痛覚過敏を引き起こす背景、さらにはミトコンドリア機能を制御する分子メカニズムについて調査した。 雄性マウスを実験に用いた。動物モデルとしてアジュバンド投与による足底炎症モデル(慢性炎症のモデル)と坐骨神経絞扼モデル(神経障害のモデル)を用いた。行動解析により痛覚閾値が低下し、痛覚過敏が生じていることを確認した。これらのモデルにおいてミトコンドリアを構成する蛋白であるCOX4の発現をウェスタンブロッティングと免疫組織化学法で解析したところ、その発現量が減少し、ミトコンドリア量が減少することが認められた。ミトコンドリアは細胞内の活性酸素を処理する機能があるが、慢性痛モデルでは知覚神経に活性酸素が蓄積することがわかり、ミトコンドリア機能の低下が活性酸素の蓄積を引き起こして痛覚過敏を形成する可能性が考えられた。また、同時に、Parkinの発現を制御する転写因子p53遺伝子の発現増加が認められ、両者の関連性が示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ミトコンドリア機能の低下がさまざまな慢性痛モデルに共通する変化であることを示すことができた。さらに、その背景にある分子メカニズムとしてp53を同定することができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
慢性痛モデルにおけるミトコンドリア機能の低下とp53発現増加の関連性について調査する。p53は直接的に、また、転写因子として遺伝子発現を調節することで間接的にミトコンドリアの制御を行う可能性がある。阻害剤を用いてp53とミトコンドリア機能の関連について詳細を検討する。
|
Research Products
(6 results)