2018 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of functional involvement of RGM, an inhibitory factor for neuronal regeneration, and development of RGM-targeted therapy in critical illness.
Project/Area Number |
18H02903
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
松本 直也 長崎大学, 病院(医学系), 助教 (50359808)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田崎 修 長崎大学, 病院(医学系), 教授 (90346221)
田島 吾郎 長崎大学, 病院(医学系), 助教 (00437427)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 頭部外傷 / マウス / RGMa / Neogenin / 免疫組織化学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は主に,頭部外傷後にRGMaとその受容体であるNeogeninの発現が誘導されるのかを免疫組織学的手法を用いて検索した。モデルはPneumatic Cortical Impact Deviceを使用してC57BL/6Jマウスを対象に施行した。脳損傷6時間後に4%パラホルムアルデヒドにて灌流固定し,脳を摘出の上,冠状断の凍結切片を作製した。抗RGMa抗体と抗Neogenin抗体を用いた二重染色とし,DAPIで対比染色を行い,蛍光顕微鏡で観察した。 損傷部位の対照となる非損傷側の大脳皮質においては,RGMaが細胞体を中心として淡く発現する細胞集団が同定された。それ以上に大脳皮質表層から深部に向けて(ないしその逆の方向に)直線上に伸びる構造物にRGMaの強い発現が認められた。この構造物はニューロンの軸索やグリアの突起,ないしこれらに隣接する組織と考えるが,部位によってはdouble tract状の配列を示し血管構造である可能性も残された。一方,頭部外傷による脳損傷部位においては,損傷部近傍に誘導されている(対照となる非損傷部には認められない)細胞群の細胞質にRGMaの発現が強く認められた。これらの細胞群は脳損傷により誘導される炎症系の細胞である可能性が示唆された。RGMaが発現される細胞の一部は細胞体周囲に複数個突起を伸ばしており,炎症により賦活化されたミクログリアである可能性も示された。損傷部の挫滅が強い組織領域には粒状にRGMaの染色が認められ,これらの細胞群がRGMaを分泌しているのではないかと推測された。 一方,Neogeninに関しては,非損傷側においてもRGMaとは違いユビキタスな発現分布が認められ,損傷部においてはその発現が全体的に増強されている印象を持った。損傷に伴いNeogeninの発現が複数の細胞群で誘導される可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は,免疫組織学的評価により頭部外傷に応答するRGMa並びにその受容体であるNeogeninの発現誘導の概要を得ることに成功した。しかしながら,頭部外傷モデル装置としてのPneumatic Cortical Impact Deviceの破損修理,クリオスタットを構成する一部備品の取り寄せ等で時間的ロスがあり,実験の遅滞に繋がった。これにより,当初脳損傷部と対照となる非損傷部の脳組織からRNA,蛋白をそれぞれ抽出してreal time PCR並びにWestern blottingを施行する予定であったが,今後の安定した実験推進のために,前者に対するworkflow構築に時間を割くに留まった。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の免疫組織学的評価を経て,頭部外傷により損傷部近傍にRGMaとNeogeninの発現が誘導される可能性が示唆された。次年度は,これらの発現がどの細胞群と構造物に局在しているのかを,個々のマーカーを使用しながら評価していく。同手法を用いて,損傷24時間後から得られるサンプルに対しても免疫組織学的評価を行い,RGMa,Neogeninの時間的空間的発現変動を解析する。次年度は,本来今年度に施行する予定であったreal time PCR並びにWestern blottingによる各因子の発現の定量化を試みる。 また,組織学的評価,real time PCR, Western blotting,ELISAの各実験に対する効率的なworkflowの構築に伴い,マウス敗血症モデルに対しても平行してRGMa並びにRGMa関連分子の発現変動の解析も行っていく。 次年度は実験補助員を雇用することで,workflowに従い実験スピードに加速をつける予定である。
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