2018 Fiscal Year Annual Research Report
悪性神経膠腫由来のエクソソームを介したミクログリアによる微小環境整備の解明
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18H02910
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
中田 光俊 金沢大学, 医学系, 教授 (20334774)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
華山 力成 金沢大学, ナノ生命科学研究所, 教授 (40403191)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 悪性神経膠腫 / エクソソーム / マイクログリア / 細胞外微小環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
悪性神経膠腫が分泌するエクソソームによる、腫瘍微小環境の整備機構について研究を進めている。膠芽腫細胞株から抽出したエクソソームをマイクログリア細胞株に添加し、そのマイクログリア細胞内のmRNA発現量の変化を網羅的に解析した予備実験において、候補として挙げられた分子のうち、最も変化量の大きかったThbs1遺伝子に着目した。Thbs1遺伝子は血管新生抑制遺伝子としてこれまでにも多数報告されており、膠芽腫との関与も多く示されている。複数の膠芽腫細胞由来エクソソームをそれぞれ添加することにより、マイクログリア細胞内のThbs1遺伝子の発現が共通して減弱することを定量的PCR法で確認した。さらに、正常星細胞株から抽出したエクソソームを添加しても、マイクログリア細胞内のThbs1遺伝子の発現が減弱しなかったことから、エクソソーム添加によるこの遺伝子発現変化は膠芽腫細胞由来エクソソームに特有の効果であることが示された。次に、当初の計画では次年度に予定していた膠芽腫細胞由来エクソソーム内の制御因子の同定をおこなった。これまでの文献からThbs1遺伝子の発現調節因子を候補として複数分子を挙げ、それぞれが膠芽腫細胞由来エクソソームに含有されるかどうかを、ウエスタンブロット法で確認した。それにより転写調節因子であるWT1タンパクが膠芽腫細胞由来エクソソーム内に含まれることが示された。WT1タンパクは膠芽腫との強い関連が報告されている分子であり、WT1タンパクを標的とした治療も提起されており、今回の実験の結果も妥当であると考えられた。今後は、膠芽腫患者由来検体での発現の確認や、エクソソーム内WT1タンパクの発現変化による微小環境への影響を検証する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
実験がスムーズに進行したため。
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Strategy for Future Research Activity |
予定通りに遂行する。
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Research Products
(1 results)