2019 Fiscal Year Annual Research Report
老化制御因子のクロストーク解析を機軸とした運動器退行性変化制御機構の解明
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18H02920
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
麻生 義則 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 寄附講座准教授 (50345279)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻 邦和 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 寄附講座准教授 (20323694)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | Sirt6 / 骨細胞 / 加齢 / SOST / FGF23 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、老化制御因子Sirt6とPAI-1のシグナルカスケードに着目し、両者の制御機構を明らかにすると共に、運動器の退行性変化、具体的には加齢に伴う骨密度低下、軟骨変性、骨格筋減少の背景に存在する分子メカニズム、およびその治療法を明らかとすることである。これまで我々は、骨細胞特異的にcreリコンビナーゼを発現するDmp1creマウスとSirt6floxedマウスを交配しDmp1cre::Sirt6f/fマウス(Sirt6cKO)を作出し、Sirt6cKOマウスでは骨量が低下すること、それは骨形成低下と骨吸収増加に起因することを見出した。本年度は分子生物学的手法により、骨細胞が分泌する各分子の発現を解析した。その結果、Sirt6cKOではSOST、FGF23の発現が亢進していること、同時にPAI-1などのsenescenceマーカーの発現が亢進することを見出した。FGF23亢進に伴い血中リン濃度はSirt6cKOマウスで低下していた。Sirt6cKOマウスの表現型におけるsenescenceの役割を解析するために、Sirt6cKOマウスとPAI-1KOマウスを交配させDmp1cre::Sirt6f/f::PAI-1KOマウス(cPKOマウス)を作出した。その結果、cPKOマウスの骨量、血中リン濃度はコントロールマウスと同様に戻った。MLO-Y4細胞をもちいてFGF23上昇の分子メカニズムを解析した。MLO-Y4細胞にsenescenceを誘導すると、FGF23,SOSTの発現はともに上昇した。一方、サルコペニアに対するPAI-1阻害効果を評価するために、高齢マウスに対してPAI-1阻害剤を経口投与した。その結果、加齢に伴う筋力低下や筋線維萎縮が、PAI-1阻害剤投与により予防された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
骨細胞特異的Sirt6欠損マウスの解析により、PAI-1とSirt6のクロストークが明らかとなりつつある。Sirt6とPAI-1の関係についても研究が進行している。筋肉特異的Sirt6欠損マウスを作成中である。高齢マウスにPAI-1阻害剤を投与する実験は完了し、PAI-1阻害剤による筋力保護効果が明らかとなった。現在、筋組織、骨組織を解析している。
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Strategy for Future Research Activity |
筋肉特異的Sirt6欠損マウスの表現型をもとに、分子メカニズムの解明を骨細胞様細胞株MLO-Y4を用いて進める。筋肉特異的Sirt6欠損マウスを繁殖させ、表現型の解析を進める。高齢マウスに対するPAI-1阻害剤の投与は完了し、筋組織、骨組織の解析を進める。
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