2020 Fiscal Year Annual Research Report
The study for ATP biosynthesis in skeletal development and skeletal disorders
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18H02922
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
秋山 治彦 岐阜大学, 大学院医学系研究科, 教授 (60402830)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河村 真吾 岐阜大学, 医学部附属病院, 助教 (30456511)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | Tfam / LDHA / AMPK |
Outline of Annual Research Achievements |
令和2年は、乳酸脱水素酵素A(LDHA)コンディショナルノックアウト遺伝子改変マウスの作成と解析を施行した。このマウスは、骨格の弯曲を認め、骨組織ではなく軟骨組織の異常を認めた。よって、軟骨では好気性エネルギー代謝よりも嫌気性エネルギー代謝が、軟骨細胞の適切な増殖分化に必須であることが明らかになった。培養細胞および器官培養を用いた実験では、低酸素培養下では、軟骨基質関連遺伝子の発現が亢進し、また軟骨細胞はアポポーシスやネクローシスによる細胞死を起こしていないことから、軟骨組織の適正な形成と維持には低酸素条件が必要であり、好気性エネルギー代謝はそれを補助しているに過ぎないことが示唆される。 次に恒常活性型AMPKコンディショナルトランスジェニックマウスを作成した。このマウスは骨格に明らかな異常を認めなかった。よって、嫌気性代謝が主である軟骨組織でもATP産生は必要分生合成されていると思われる。このトランスジェニックマウスとTfamコンディショナルノックアウト遺伝子改変マウスを交配し、骨格の表現系が改善するかどうかのレスキュー実験を実施した。しかし、Tfamコンディショナルノックアウト遺伝子改変マウスの骨格異常は全く改善されなかった。以上の結果から、Tfamコンディショナルノックアウト遺伝子改変マウスおよび乳酸脱水素酵素A(LDHA)コンディショナルノックアウト遺伝子改変マウスの骨格形成異常は、単に細胞におけるATP生合成の低下のみではなく、他のメカニズムを考える必要があると思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
好気性及び嫌気性エネルギー代謝を骨格で抑制した2種類の遺伝子改変マウス、Tfamコンディショナルノックアウト遺伝子改変マウスと乳酸脱水素酵素A(LDHA)コンディショナルノックアウト遺伝子改変マウスの作成が終了し、その骨格形成異常を組織学的に解析した。さらに骨格においてネルルギー産生を亢進させるため活性型AMPKコンディショナルトランスジェニックマウスを作成し、その骨格の表現系を解析し、さらにTfamコンディショナルノックアウト遺伝子改変マウスの骨格形成異常がレスキューできるかどうかの解析も終了した。計画通りに研究が進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度は、骨粗鬆症モデルマウス及び変形性関節症マウスモデルを用いた解析を行う。まず、恒常活性型AMPKコンディショナルトランスジェニックマウスにCol1a1-Creマウスを交配させた雌マウスの卵巣を摘出し、骨粗鬆症モデルマウスを作成する。恒常活性型AMPKによる骨芽細胞におけるATP産生増加が骨粗鬆症の発症・病態にどのように影響するかを骨形態計測法を用いて詳細に解析する。さらにSox9-CreERT2マウスと交配し、生後タモキシフェンを投与したマウスの内側半月板を切離して作成した変形性膝関節症モデルマウスにおける関節軟骨変性が、恒常活性型AMPKによる関節軟骨細胞でのATP産生増加が病態にどのように影響するか組織学的に詳細に検討する。 また、骨軟骨細胞ATP生合成を亢進する低分子化合物のスクリーニングを実施する。従来の諸家の研究や我々の研究結果から、骨軟骨細胞でのATP生合成を亢進する薬剤の開発は、骨折などの骨格疾患のみならず加齢により発症する骨粗鬆症や変形性関節症の初期治療に期待できるのではないかと推察される。本研究では、1次スクリーニングとして骨および軟骨初代培養細胞を用いて約10,000種類の種々の化学構造を有する低分子合成化合物を、ルシフェリンを用いたATP発光量で定量解析し、シード化合物を選択する
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