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2019 Fiscal Year Annual Research Report

思春期特発性側弯症の進行に関与する遺伝子の同定

Research Project

Project/Area Number 18H02931
Research InstitutionInstitute of Physical and Chemical Research

Principal Investigator

稲葉 郁代  国立研究開発法人理化学研究所, 生命医科学研究センター, 客員研究員 (60415081)

Project Period (FY) 2018-04-01 – 2021-03-31
Keywords思春期特発性側弯症 / 全ゲノム関連解析 / 一塩基多型 / 多因子遺伝病 / 疾患感受性遺伝
Outline of Annual Research Achievements

思春期特発性側弯症(Adolescent idiopathic scoliosis: AIS)は、人口の2-4%に発症するcommon diseaseである。遺伝要因と環境要因の相互作用により発症する多因子遺伝病であると考えられており、AISの発症、進行には遺伝要因が深く関与することが明らかになっている。AISは、側弯の進行度合いに応じて治療方法が異なり、進行すると治療が困難となるため、早期発見と進行予測が重要である。われわれは、これまでにAISの発症に関与する複数の感受性遺伝子座位と進行や重症化に関与する2つの感受性遺伝子座位を同定しており、国際メタ解析により再現性を確認している。本年度は、昨年度までに行った3つの全ゲノム関連解析(Genome-Wide Association Study: GWAS)のタイピングデータを用い、骨成熟度を加味したコブ角を基準に進行群と非進行群に分類した層別化解析およびコブ角を量的変数とした関連解析を行った。GWASの有意水準を満たすAISの進行に関連する遺伝子座位は同定できなかったが、それに準じる強い関連がみられる遺伝子座位が見つかった。さらに性別による層別化解析を行い、女性のAIS発症に関連する遺伝子座位を3カ所同定した。AISの分子病態を明らかにするため、3つのGWASを統合したメタ解析により同定されたAISの発症に関連する遺伝子座位に対し、in silicoおよびin vitroでの解析を行い、転写因子TBX1の遺伝子内に存在する一塩基多型(SNP)のリスクアレルでTBX1遺伝子の発現が低下することを明らかにした。また遺伝統計学的解析によりAISが6つの組織あるいは細胞種に関連すること、BMIや尿酸値と共通の遺伝的背景を持つことを明らかにした(Kou et al. Nat Commun. 2019)。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

昨年度までに3つのAIS GWASを統合したメタ解析により14カ所の新規遺伝子座位を含む20カ所のAISの発症に関連する遺伝子座位を同定している。本年度はこれらのGWASタイピングデータを用い、AIS患者集団に対しコブ角が40度以上の患者を進行群、Risserの基準による骨成熟が得られ、かつコブ角が30度以下の患者を非進行群とした層別化解析を行った。またコブ角を量的変数とした関連解析も行った。GWASの有意水準(P < 5.0 × 10-8)を満たすAISの進行に関連する遺伝子座位は同定できなかったが、それに準じる強い関連(P < 1.0 × 10-6)がみられる遺伝子座位が見つかった。さらに性別による層別化解析を行い、女性のAIS発症に関わる遺伝子座位を3カ所同定した。
現時点で進行に関連する遺伝子座位が同定できなかったため、まずは発症に関連する遺伝子座位の解析を通じてAISの分子病態解明を試みた。AISの発症に関連する遺伝子座位に対し、相関値の大きさ、転写やクロマチン構造等に関するビッグデータをもとに予想機能のアノテーションから関連遺伝子多型を推定した。推定した関連遺伝子多型のゲノム領域近傍に存在する遺伝子に対し、様々な遺伝子発現データベースを使用し、疾患に関わる可能性のある候補遺伝子を推定した。In silico解析の結果に基づきluciferase assay、electrophoretic mobility shift assayのin vitro解析を行い、転写因子TBX1の遺伝子内に存在するSNPのリスクアレルでTBX1遺伝子の発現が低下することを明らかにした。さらに遺伝統計学的解析によりAISが6つの組織あるいは細胞種に関連すること、BMIや尿酸値と共通の遺伝的背景を持つことを明らかにした(Kou et al. Nat Commun. 2019)。

Strategy for Future Research Activity

これまで我々がGWASを行ったAIS患者サンプル数は5000検体を超え、これは全世界的に最大規模の検体数である。しかし、今回の層別化解析ではGWASの有意水準を満たすAISの進行に関連する遺伝子座位は同定できなかった。一方でGWASの有意水準には満たないものの高い相関が認められた有望な遺伝子座位が見つかっている。この有望な進行関連遺伝子座位については、これまで築いたアメリカ合衆国、中国、香港、スウェーデンとの国際協力体制をもとに、他の人種サンプルを用いた追試ができないか検討を行っていく。また、新たな日本人のAIS患者サンプルの収集も行うことも検討している。追試により進行関連遺伝子座が同定された場合には、様々なビッグデータをもとに、予想機能のアノテーションから進行関連遺伝子多型を推定する。推定した進行関連遺伝子多型のゲノム領域近傍に存在する遺伝子に対し、遺伝子発現データベースを使用し進行感受性候補遺伝子を選定する。In silico解析の結果に基づき、in vitroおよびin vivo解析で候補遺伝子機能の解析を行い、進行感受性遺伝子であることを証明していく。上記検討と併行し、進行群/非進行群の分類法について検討し、さらなる層別化解析を行う。
一方、今回の研究の過程で同定されたAISの発症に関連する遺伝子座位に関しては、引き続きin silico、in vitro解析を行い、さらにゼブラフィッシュを用いたin vivo解析を行っていくことによりAISの分子病態を明らかにしていく。

  • Research Products

    (1 results)

All 2019

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results,  Open Access: 1 results)

  • [Journal Article] Genome-wide association study identifies 14 previously unreported susceptibility loci for adolescent idiopathic scoliosis in Japanese2019

    • Author(s)
      Kou Ikuyo、Otomo Nao、Takeda Kazuki、(以下43名)、Ikegawa Shiro
    • Journal Title

      Nature Communications

      Volume: 10 Pages: 3685

    • DOI

      10.1038/s41467-019-11596-w

    • Peer Reviewed / Open Access

URL: 

Published: 2021-01-27  

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