2019 Fiscal Year Annual Research Report
臨床的・ゲノム学的アプローチの融合による強度近視関連失明の総合的病態解明
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18H02955
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
辻川 明孝 京都大学, 医学研究科, 教授 (40402846)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮田 学 京都大学, 医学研究科, 助教 (00548505)
大石 明生 京都大学, 医学研究科, 特定病院助教 (50572955)
三宅 正裕 京都大学, 医学研究科, 特定助教 (90812793)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 強度近視 / 全ゲノム解析 / 変性近視 |
Outline of Annual Research Achievements |
近視は世界的に増加している疾患で、特にアジア人において罹患率が高い。中でも強度近視は、近視性脈絡膜新生血管や、眼球の病的変形による近視性視神経症や近視性網脈絡膜萎縮などの合併症を引き起こし失明に至る疾患であり、実際に本邦でも視覚障害原因の4位となっている。従って、それら合併症の予防法・治療法の確立がアジアを中心として世界的に望まれているが、現時点では眼球の病的変形の機序自体が明らかになっていない。 近年、がん領域では、これまで同じ癌腫として一括りにされていたものが実は多様な遺伝子変異が原因で起こるヘテロな集団であることがよく知られるようになり、癌腫単位でなく原因遺伝子単位で病態を研究することが一般的となっている。我々の研究グループはこれまで、加齢黄斑変性、強度近視、網膜色素変性症などについての研究を行ってきたが、その中で、失明にいたるようなCRAを伴う最強度近視も、網膜色素変性症と同様、多様な原因遺伝子からなるヘテロな集団ではないかと考えるに至った。 本年度は、近視性網脈絡膜萎縮を有する最強度近視家系の全ゲノム解析に着手した。具体的には、京都大学附属ゲノム医学センターと相談し、まずはトータルで最強度近視症例125例の全ゲノム解析を行う方針とし、京都大学医学部附属病院の強度近視外来において研究同意の上で取得された最強度近視30検体につき全ゲノム解析を実施した。残りのサンプルは次年度以降で解析を行う予定である。既に全ゲノム解析されたサンプルは京都大学附属ゲノム医学センターの標準パイプラインで変異を抽出中であり、全データが出そろった暁には集積性を確認する。また、並行して最強度近視症例及びその家系のサンプル収集を続けており、30検体以上の収集を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
資金的な面及びマンパワーの面からも本年度は最強度近視症例の全ゲノム解析に注力した。こちらは順調に進んでいるが、当初の計画書に記載した近視性脈絡膜新生血管のゲノムワイド関連解析や眼球形状のゲノムワイド関連解析についてはパイロット研究しか行えておらずまだ成果となっていない。引き続き研究を進めていく。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度も全ゲノム解析を継続する。解析結果が出そろった段階でバイオインフォマティクス的解析を行っていく。結果によって今後の進め方が変わってくるが、可能性が高いと考えているのは、集積性を認めた遺伝子について、家系解析を進めていくことである。近視性脈絡膜新生血管のゲノムワイド関連解析や眼球形状のゲノムワイド関連解析についても、解析を進める。
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Research Products
(3 results)