2019 Fiscal Year Annual Research Report
Study of osteo-nociceptive-immune system
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18H02970
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
丸山 健太 生理学研究所, 生体機能調節研究領域, 特別協力研究員 (60724119)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 骨破壊 / 疼痛 / 浮腫 |
Outline of Annual Research Achievements |
老年内科診療において、骨密度低下とそれに付随して生じる骨粗鬆症由来疼痛ならびに全身性浮腫の解決はQOL維持の観点から極めて重要であり、昨今の介護施設においては寝たきり、疼痛、浮腫に続く敗血症で絶命するケースがふえている。それ故、要介護状態を短縮させて健康寿命を延伸させるためには高齢者を襲う「骨破壊」「疼痛」「浮腫」という3つの病的状態を同時に改善させうる単一の治療標的の同定が必須である。研究代表者らは、neural zinc finger/myelin transcription factor (NZF) familyメンバーの一つ(転写因子X、未公開)が痛覚神経系・マクロファージ・破骨細胞において特異的に発現しており、その発現が加齢にともなって減少することを示唆する予備的知見を得た。転写因子Xの機能を明らかにする目的で、当該因子を全身で欠損する鼠を作出したところ、胎生致死であった。そこで、転写因子Xの発現が高い痛覚神経系やミエロイド細胞系譜において転写因子Xを特異的に欠損する鼠を作成したところ、「骨破壊」「疼痛」「浮腫」の3病態を満たすと同時に敗血症耐性が極めて脆弱な「早老」形質が観察された。本研究では、当該転写因子の機能発現機構の全貌をマウス遺伝学・骨代謝学・生理学を結集することで検証する。研究の2年目度が終了した現在、研究代表者は転写因子Xが転写因子Sp1と結合することでその転写活性を抑制していることを突き止めた(未公開)。転写因子Xを欠損させた細胞は転写因子Sp1の標的遺伝子と考えられるTim4とVEGFの発現が野生型と比べて5~10倍程度上昇しており、これら遺伝子の過剰発現が、転写因子Xを痛覚神経系やミエロイド細胞系譜で欠損するマウスの表現型を規定していることを示唆する証左を得た(未公開)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
転写因子Xが転写因子Sp1の抑制を担う分子であることを示唆する証左を得たため、本研究はおおむね順調に進展しているものと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
転写因子XがSp1の抑制を介してTim4とVEGFの発現を制御していることを示す証左を得た。次年度は、ミエロイド細胞系譜特異的な転写因子XのノックアウトマウスとTim4ノックアウトマウスの二重欠損マウス、ならびにミエロイド細胞系譜特異的な転写因子XのノックアウトマウスにVEGF阻害剤であるAxitinibを投与した際の表現型を解析することで、Tim4とVEGFが転写因子Xの真の標的であるかどうかを検証する。
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