2019 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of the role of organelle stress response in oral cancer stem cells
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18H02973
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
西頭 英起 宮崎大学, 医学部, 教授 (00332627)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
泰江 章博 徳島大学, 病院, 講師 (80380046)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 口腔がん |
Outline of Annual Research Achievements |
根治を妨げる“がんの高度悪性化”をもたらす要因の一つとして、がん幹細胞仮説がある。がん幹細胞は、口腔領域においても実証されており、そのメカニズム解明は、次世代の分子標的治療薬開発に繋がると期待される。本研究では、がん幹細胞の増殖と分化へのオルガネラストレス応答の役割を解明し、さらに、その制御によりがん幹細胞を低浸潤性、低転移性がんへと分化させることを目指している。具体的には下記について研究した。口腔がん幹細胞におけるオルガネラストレス応答シグナルの関与を検討した。がん組織培養における口腔がん幹細胞共培養系を確立した。口腔がん幹細胞を低浸潤性・低転移性がん細胞へと分化誘導する系の確立を検討した。その結果、前年度までの成果をさらに発展させ、in cell実験系において、表面マーカーを指標にがん幹細胞を分離後、口腔がん幹細胞をがん組織に近い環境で培養し、オルガネラ品質管理とその破綻によるストレスシグナル伝達経路の関与について検討するための実験系の確立に成功した。また、in vivo実験系として、がん幹細胞の高度悪性化への関与を検討するために必要な、小胞体およびミトコンドリア関連分子の遺伝子改変マウスの作製を試み、現在F0マウスの作出に成功した。これらの成果は、オルガンネラストレスと口腔がん特にがん幹細胞の関係を明らかにすることを可能にするもので、次年度においては、がん幹細胞の増殖と分化へのオルガネラストレス応答の役割を解明し、さらに、その制御によりがん幹細胞を低浸潤性、低転移性がんへと分化させることを目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記概要に従った研究を実施した結果、下記の結果を得た。 1)がん幹細胞の単離および培養に成功し、それらの細胞を用いて、小胞体ストレスおよびミトコンドリアストレスの関与をRT-PCRおよびウエスタンブロッティングにより明らかにした。 2)Derlin-1のがん細胞への関与を検討するため、ウエスタンブロッティングおよび細胞免疫染色により、細胞増殖への関与を明らかにした。3)小胞体-ミトコンドリア間のオルガネラクロストークの重要性をセンサータンパク質PERKの欠損細胞およびアミノ酸変異体をもちいて明らかにした。4)PERK変異体ノックインマウスの作製を実施しており、F0マウスが得られた。従って、本研究計画は順調に進捗していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
R1年度までに明らかになった知見を基に、次の項目に従い研究を進める。①口腔がん幹細胞におけるオルガネラストレス応答シグナルの検討:樹立したがん幹細胞とその遺伝子変異株細胞において、小胞体とミトコンドリアのストレス状態をそれぞれのストレス応答マーカーで観察する。②3Dがん組織培養における口腔がん幹細胞共培養系の確立:実際のがん組織環境を再現するために、同一ヒトがん組織より単離したがん細胞とがん幹細胞を培養する系を構築する。③口腔がん幹細胞の増殖・分化へのオルガネラストレス応答の役割検討(in cell):共培養系において、がん幹細胞でのER stressとMito stressについて、それぞれの下流遺伝子発現を応用したプローブで評価する。④口腔がん幹細胞の増殖・分化へのオルガネラストレス応答の役割検討(in vivo):ER stressとMito stressの関与をマウス個体がん組織で評価するために、がん細胞とがん幹細胞の共培養がん組織をマウス皮下投与し、がんの転移能、浸潤能を指標とした評価を行う。⑤口腔がん幹細胞を低浸潤性・低転移性がん細胞へと分化誘導する系の確立:上記研究で明らかになる、がん幹細胞の浸潤性と転移性に関与する分子を発現抑制または活性化制御する系をin cell/in vivo実験系で確立し、がん幹細胞によるがん不均質性に起因する高度悪性化を制御する。これにより、将来の治療法開発のproof of conceptとして概念の提唱を目指す。
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