2019 Fiscal Year Annual Research Report
Challenge to the development of new treatments applying the enhancement of periodontal tissue regeneration by controlling stem cell aging
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18H02982
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
北村 正博 大阪大学, 歯学研究科, 准教授 (10243247)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村上 伸也 大阪大学, 歯学研究科, 教授 (70239490)
山下 元三 大阪大学, 歯学部附属病院, 講師 (90524984)
竹立 匡秀 大阪大学, 歯学部附属病院, 講師 (60452447)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 歯周組織再生 / ステムセルエイジング / 歯根膜細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
1、歯根膜幹細胞のステムセルエイジングにおけるトランスクリプトーム解析 In vitro歯根膜幹細胞老化モデルにおける各継代数の歯根膜細胞からmRNAを精製、ライブラリを調整した後、次世代シーケンサ「Illumina HiSeq」によるRNA シークエンスを実施し、継代数6(P6)と24(P24)の歯根膜細胞のmRNAsプロファイルをGeneSpringソフトにより比較検討した。その結果、P6に比べP24において2倍以上の発現変動を認めたmRNAsを対象としたGO term解析により、細胞分裂、核タンパク、DNA修復、コラーゲンをはじめとする細胞外基質タンパクに関係するmRNAs群が大きく変動することが明らかとなった。また、歯根膜幹細胞のステムセルエイジングに関与するmiRNAsの機能解析を行った結果、歯根膜細胞の細胞老化に関与するmiR-34aの導入により、炎症性サイトカイン(IL-6,IL-8など)産生が増強し、細胞外基質蛋白の一つであるペリオスチンの産生が低下することが明らかとなった。 2、ADSCの老化過程におけるプロテオーム解析 継代数7(P7)と23(P23)のADSCの蛋白質画分をnano-LCカラムにて分画後、LC-MS/MSによるショットガン質量分析による網羅的な蛋白解析を実施し、FGF-2添加、非添加による蛋白発現の変化を比較、検討した。その結果、P23 のADSCではP7と比べ、N-alpha-acetyltransferase 15 NatA auxiliary subunit(NAA15)、Latent-transforming growth factor beta-binding protein 2(LTBP2)などの発現が低下していたが、FGF-2添加によりこれらの蛋白発現の回復が認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度は、昨年度樹立した歯根膜幹細胞のin vitro老化モデルを用い、歯周組織幹細胞のトランスクリプトーム解析およびプロテオーム解析を行い、歯根膜幹細胞におけるステムセルエイジング機構の解析を計画していた。 歯根膜幹細胞のステムセルエイジングにおけるトランスクリプトーム解析に関しては、次世代シーケンサを用いた老化および非老化歯根膜細胞のmRNAsプロファイルを比較した結果、細胞分裂、核タンパク、DNA修復、細胞外基質タンパクに関係するmRNAs群が大きく変動することを確認できた。そして、歯根膜細胞にmiR-34aを導入し歯根膜幹細胞のエイジングに関与するmiRNAsの機能解析を行った結果、炎症性サイトカイン(IL-6,IL-8など)産生が増強し、細胞外基質蛋白の一つであるペリオスチンの産生が低下することが確認でき歯根膜幹細胞のエイジングにmiRNAsが関与している可能性が明らかとなった。また、LC-MS/MSによるショットガン質量分析を用いた老化および非老化ADSCのプロテオーム解析により、老化ADSCでは非老化ADSCと比べN-alpha-acetyltransferase 15 NatA auxiliary subunit(NAA15)などの蛋白発現が低下していたが、FGF-2添加によりこれらの蛋白発現の回復が認められたことから、機能低下した老化ADSCの増殖、再生能がFGF-2により賦活化できる可能性が示唆された。 以上、2019年度に予定していた研究計画を概ね達成できたことから、現在まで本研究課題はおおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
次年(2020)度は、以下の研究を行い昨年度同定した歯根膜幹細胞のステムセルエイジングに関与するmiRNA-137などのRNA配列と相補配列を有するmicroRNA 阻害剤(人工microRNA模倣鎖)を合成し、miRNAsを標的とした核酸治療薬によるステムセルエイジング制御の可能性の検討を計画している。 1、歯根膜幹細胞におけるステムセルエイジング制御実験:上述の歯根膜幹細胞のステムセルエイジングに関与するmiRNAs のmicroRNA 阻害剤(inhibitor miRNA)を合成し歯根膜幹細胞に導入して、傷害ミトコンドリア由来の活性酸素種(ROS)を標的とした核酸治療薬によるステムセルエイジング制御の可能性を検討する。 2、ヒトADSCでのステムセルエイジング機構の解析:複数のヒトADSCを対象にしたオミックス解析(DNAアレイ、microRNAアレイ、プロテオーム解析)を実施し、臨床における歯周組織再生効果との関連を精査する。そして、ヒトADSCのステムセルエイジングが歯周組織再生効果に及ぼす影響を分子、細胞レベルで検討する。 3、ビーグル犬を用いたADSCのステムセルエイジング制御による歯周組織再生効果の検討:1で同定されたヒトADSCの歯周組織再生効果の増強をもたらす人工microRNAs処理により、ステムセルエイジングを制御したADSC(試験群)と通常のADSC(対象側)をビーグル犬重度歯周組織欠損モデルに移植し、臨床的および組織学的に歯周組織再生効果を解析して、幹細胞のステムセルエイジング制御による歯周組織再生効果増強の可能性について検証する。
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Research Products
(8 results)
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[Presentation] Analysis of Mitophagy in Senescent HPDL Cell.2019
Author(s)
Yamashita M, Suzuki M, Ikegam K, Nakamura T, Nishikawa A, Hashimoto K, Morikawa T, Miki K, Yanagita M, Kitamura M, Shinya Murakami.
Organizer
13th Asian Pacific Society of Periodontology Meeting
Int'l Joint Research
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