2019 Fiscal Year Annual Research Report
構音障害の病態解明を目指す数値流体音響解析を用いた構音シミュレーション法の開発
Project/Area Number |
18H03001
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
三島 克章 山口大学, 大学院医学系研究科, 教授 (60304317)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中野 旬之 大阪医科大学, 医学部, 講師 (60511730)
岩永 秀幸 山口大学, 医学部附属病院, 診療放射・エックス線技師長 (70827112)
梅田 浩嗣 山口大学, 大学院医学系研究科, 助教 (90610618)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 流体音響解析 / 構音のシミュレーション / 構音運動 / 構音障害 / 声道モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度に確立した流体音響解析を用いて、母音/a/に対しては、シミュレーションの精度検証を進め、子音/∫/の音に対しては、新たな流体音響解析法の開発をめざした。 1)母音/a/発音時のCT-DICOMデータから、ポリアミド系のPA12 (DMM)の材料を用いて、マルチジェットフュージョン方法により3次元実体モデルを作製した。音源として笛式人工喉頭を用いた。気管分岐部側の開口部を超軟質のゲルシート(EXSEAL)で塞いだ。さらに、CT撮影時の被爆量低減目的に、撮影範囲を声門下部までとし、声門下部から気管分岐部相当部までは、仮想的に円柱形状に12cm延長して解析を行った。被検者数を15名として、実音声と実体モデルから得られるフォルマント周波数と比較した結果、15例中12例が相対弁別閾値9%以内であり、残りの3例は声門下部の延長部の長さを2~3cm短くすることにより、相対弁別閾値9%以内となった。さらに、500Hz付近のピークは鼻咽腔結合による極零対が観察され、この極零対の次に観察されるピークは、女性の多くにF1とF2の間に観察され、男性の多くにF2より高周波数側に観察された。 2)子音/∫/の音のシミュレーション法の確立を目指した。子音/∫/は肺からの気流が舌尖部により作られた狭めを通過して上顎前歯部に衝突して生じる乱流現象によって発生する音と考えられている。即ち、狭窄流路のジェット流である流体音が音源として計算されたうえで、それを音源として、声道内の伝搬の解析が必要であることがわかった。子音/∫/発音時のCT-DICOMデータから作成した声道モデルを用いて、数値流体力学(computational fluid dynamics; CFD)計算を実施した。計算結果の妥当性を十分には検証できていないが、上下顎前歯周囲のモデルの精度をさらに向上させる必要があることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
子音/∫/の音のシミュレーション法の開発が遅れている。1症例の声道モデルに対して、現有のマシンを用いてCFD計算させるのに1週間程度の計算コストがかかることが分かった。さらに、上下顎前歯部のモデルの精度が予想以上に要求されることが分かった。これらの点を克服することに予想以上に時間を要している。
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Strategy for Future Research Activity |
音源発生部位にあたる上下顎前歯から舌尖部にかけてのモデルの精度を向上させ、一方で、計算コストを抑えるために適切なメッシュサイズを探索していくことにより、子音/∫/のシミュレーションの実現を目指す。
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Research Products
(20 results)
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[Book] 口腔外科学 第4版2020
Author(s)
三島克章(白砂兼光・古郷幹彦 編著)
Total Pages
862
Publisher
医歯薬出版
ISBN
978-4-263-45843-3
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