2019 Fiscal Year Annual Research Report
治療抵抗性口腔癌の根絶を目指したIL-6シグナル阻害による革新的放射線療法の開発
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18H03005
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
中山 秀樹 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 教授 (70381001)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | IL-6シグナル / がん微小環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
口腔扁平上皮癌細胞株(SASとHSC2)を用いて研究を行った。定常状態において、OSCC細胞に対するIL-6/IL-6Rシグナルをブロックすると、STAT3の下流のシグナルを抑制することが確認できた。 In vitroの実験では、コントロール群とトシリズマブ処理群に分けて、放射線(X線6 Gy)照射後の細胞死をclonogenic assay およびmodified high density assayで比較検討を行った。その結果、OSCC細胞に放射線が照射されると、OSCC細胞より細胞外に分泌されたIL-6が放射線照射後の細胞生存にオートクラインに作用している可能性が示唆された。さらに、OSCC細胞とTAMの共培養下での実験結果から、OSCC組織に放射線が照射されると、照射後にTAMより細胞外に分泌されたIL-6がOSCC細胞の生存にパラクラインに作用している可能性が示唆されるが、その影響度はオートクラインのメカニズムよりも弱いものと推測された。 In vivoの実験では、ヌードマウスの背部にOSCC細胞を移植し、トシリズマブ投与下にマウスの背部にX線4 Gy/日ずつ週5回、3週に渡って合計60 Gy照射した。経時的に腫瘍体積を測定し、X線照射後の腫瘍組織を用いて免疫組織化学染色を行った。その結果、トシリズマブの投与によってin vivoでのOSCC細胞の放射線感受性が増強し、その効果はIL-6下流のNrf2とSTAT3の活性の低下によってもたらされていることが考えられた。OSCC患者の臨床検体の一部を採取してヌードマウスの背部皮下組織に移植したPDXモデルにおいてIL-6シグナル阻害の効果を検証し、同様の効果が得られている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
In vitroの実験に続きin vivoの実験でも想定内の実験結果が得られていため。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、異種移植モデルを用いてin vivoの実験を行っているため、今後、マウス由来のSCC細胞株移植でも同様の実験を行い、がん微小環境においてIL-6シグナル阻害を行った場合の免疫担当細胞への影響を解析していく予定である。
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