2018 Fiscal Year Annual Research Report
Regional difference and personal and environmental factors of oral health in older people aiming at policy intervention
Project/Area Number |
18H03018
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Research Institution | Kanagawa Dental College |
Principal Investigator |
山本 龍生 神奈川歯科大学, 大学院歯学研究科, 教授 (20252984)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 克則 千葉大学, 予防医学センター, 教授 (20298558)
相田 潤 東北大学, 歯学研究科, 准教授 (80463777)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 歯科口腔保健 / 高齢者 / 地域差 / 個人要因 / 環境要因 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、2010年から実施した高齢者大規模調査に2019年の調査を追加することにより、口腔の健康状態と歯科保健行動の地域差の実態とその変化、そしてそれらに関連する個人および環境要因を明らかにすることを目的とする。これによって、口腔の健康状態の地域差縮小に向けた政策立案に寄与する根拠を提供する。2018年度は予定通り以下の2点を実施した。 1.既存データを用いた分析 日本老年学的評価研究が2010~2011年に実施し30自治体の97,745名から得たデータを用いて、口腔の健康状態と歯科保健行動の地域差を検討した。口腔の健康状態は、19歯以下の者、義歯・ブリッジ未使用者、固いものが食べにくくなった者、口の渇きが気になる者、むせることがある者の割合とした。歯科保健行動は、過去6か月間の治療または健診による歯科受診者、歯間ブラシ・フロス使用者、フッ化物配合歯磨剤使用者の割合とした。自治体の性の分布と平均年齢を考慮した分析の結果、口腔の健康状態と歯科保健行動において有意な地域差がみられた。 さらに、地域差に関連する個人および環境要因を検討した。個人要因として性、年齢、学歴、所得、治療中疾患の有無、個人のソーシャル・キャピタル、環境要因として都市度、人口当たり歯科医師数、歯科口腔保健条例の有無、地域のソーシャル・キャピタルを用いた。その結果、口の渇きやむせの自覚は農村部、治療による歯科受診は歯科医師の多い自治体、固いものが食べにくいと感じる者は条例のない自治体に多く、口腔の健康状態と歯科保健行動が良好な者はソーシャル・キャピタルが豊かな地域に多かった。 2.2019年度実施調査の計画立案 1.に示した既存データの分析結果を踏まえて、2019年度に実施する調査計画を立案した。新たな指標として、先行研究の結果を踏まえて、歯周病に関する項目の追加を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた既存データの分析と2019年度実施の調査計画の立案が実施されたことから、おおむね順調に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度は、予定通り、既存の3時点データを用いた分析と、2018年度の調査計画に則った調査を実施する。 既存のデータによる分析では、2010~2011年、2013~2014年および2016~2017年に調査を実施した20自治体のデータベースを用いる。2018年度に実施した2010~2011年のみによる横断データ分析の結果を踏まえて、口腔の健康状態、歯科保健行動、個人および環境要因で変化をみることができる項目を抽出する。そして、口腔の健康状態または歯科保健行動の地域差の変化と、変化に関連する個人および環境要因を明らかにする。 実態調査については、対象を、2010~2011年、2013~2014年および2016~2017年度の全てで調査を実施した20自治体の65歳以上の16,000名(回収率70%、各自治体に平均25学校区があるとして、各学校区に約22名の分析対象者を想定し、各自治体において介護保険の被保険者台帳からランダムに選択した800名)とする。調査項目は、2018年度に実施した2010~2011年調査のデータ分析の計画で使用した口腔の健康状態、歯科保健行動、個人および環境要因とし、さらに2018年度に検討した歯周病とする。調査会社を通じて調査票を送付、回収、データ入力後、データクリーニングを委託する。 2020年度は、2019年度の調査データのデータベースを完成させ、2010~2011年、2013~2014年、2016~2017年および2019年の4時点繰り返し横断データおよびパネルデータによる口腔の健康状態および歯科保健行動の地域差の変化と変化に関連する要因を特定する。パネルデータに関しては、例数が少なくなるようであれば2010~2011年と2019年の2時点のデータとする。また、歯周病の地域差を検討するとともに、それに関連する個人および環境要因を明らかにする。
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