2020 Fiscal Year Annual Research Report
Establishment of support system for environmental illness patients by strengthening potential social support ability
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18H03022
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
今井 奈妙 三重大学, 医学系研究科, リサーチアソシエイト (90331743)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
種田 ゆかり 三重大学, 医学系研究科, 助教 (00444430)
船尾 浩貴 三重大学, 医学系研究科, 助教 (60804268)
福録 恵子 三重大学, 医学系研究科, 教授 (90363994)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 化学物質過敏症 / COVID-19感染症 / オンライン講義 / 臨床生態看護学 |
Outline of Annual Research Achievements |
【調査】4月からの新型コロナ感染症の流行による社会的な混乱により、MCS患者会代表者を対象とした心理社会的健康状態の縦断的研究を中断せざるを得なくなった。その理由は、化学物質曝露による過敏症状の程度(QEESI)、環境的な阻害因子(CHIEF)、社会参加の状態(CIQ)、健康関連QOL(SF36)の尺度から構成された質問紙が、通常の安定した社会生活における状態を測定するものであり、一般市民の家庭内への軟禁やアルコール類による消毒が至る所で行われる感染予防優先社会での測定は不可能且つ無意味と考えられたからであった。 【介入】患者会代表者とのオンラインミーティングも、新型コロナウィルス感染症による社会的混乱に伴い、参加者の体調不良や研究脱落が生じ、中断せざるを得なくなった(6回開催後に中断)。そのため、ミーティングの開催を保留のまま社会的混乱が収束するのを待つこととなった。一方、ニュースキャン(周波数治療)を用いた訪問看護を開始するにあたって機材を購入したが、ロックダウンの影響で研修を継続できなくなった。 【教育】新型コロナウィルス感染症の影響でオンライン学習が一般的となり、臨床看護師に対して、臨床生態看護学の遠隔講義(東京-三重)を総計5回行った。これらは、看護師2名を対象としたZoom講義であった。また、三重看護研究会主催のセミナーにおいて、「看護職はコロナウィルスから何を学んだか-倫理的感性を研ぎ澄ました観察力の重要性-」という講演(2020年10月3日)を行った。本講演では、COVID-19 を証明する論文がエビデンスに欠けること、PCR検査の結果を診断に結び付ける不適切性について述べ、看護研究は、COVID-19の正体とその社会的影響を探究すべきであることを提言し、混乱する社会の中でこそ、看護職には冷静な判断力と倫理的思考力が必要であることを教育した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
作成した質問紙は、通常の安定した社会生活における化学物質曝露の状況を測定するものであり、新型コロナ感染症の影響による研究バイアス(主には、ロックダウンによる一般市民の家庭内への軟禁とアルコール類による消毒が至る所で行われること、および、対象患者の心理的動揺)が存在する社会での測定は不可能と考えられた。また、オンラインミーティングも、研究参加者の社会的動揺と不安が強いために中断した。 一方、COVID-19感染症によって、一般社会のオンラインによるコミュニケーションが促進され、遠隔講義自体はスムーズに開催できた。しかし、看護職にCOVID-19患者への対応を早急に求められる社会状況の中、化学物質過敏症患者支援の学習を希望する看護師を求める広告は功を奏せず、臨床生態看護学の受講者は2名に留まった。
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Strategy for Future Research Activity |
COVID-19感染症による社会的影響の継続期間が予測できないため、社会的潜在支援力(化学物質過敏症患者の互助システムおよび看護師免許を保有する非労働状態にある者)の強化とは何であるのかを見直す必要が生じた。また、環境病患者へのサポートとして必要とされるものは何かについての再検討も必要であると判断している。 研究の方向性は、現在のところ不適切とは判断しておらず、社会的潜在支援力を強化する方法、ならびに、化学物質過敏症患者へのサポート方法を、今後の社会状況に合わせて調整していかねばならないと考えている。訪問看護師と化学物質過敏症患者の間で、訪問看護が成立していない要因の分析をする必要があり、この調査はオンラインで行えるものと考えている。
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Research Products
(1 results)