2019 Fiscal Year Annual Research Report
Investigating the detection methods for and incidences of adverse events looked over in daily practice
Project/Area Number |
18H03032
|
Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
森本 剛 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (30378640)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
太田 好紀 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (10516404)
作間 未織 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (60349587)
武内 治郎 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (60791324)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 医原性有害事象 / 医療安全 / 臨床疫学 / 情報科学 / コホート研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、入院患者や外来患者において日常的に発生していることが分かりつつある医原性有害事象について、診療中には医原性とは認識されずに見逃される、医原性有害事象の頻度や種類などの臨床疫学を明らかにし、そのリスクファクターや防止・緩和可能性を検討することを目的としている。 本年度は、前向きコホート研究のデータの詳細な分析を実施し、解析用データベースが完成した。以下は、解析用データベースから得られた結果の概要である。 前向きコホート研究に1130人(内科系診療科374人、外科系診療科530人、集中治療部門226人)の患者が登録され、平均年齢70歳、男性646人(57%)であった。カルテレビューから、潜在的な有害事象として検出された2977件について分析し、1147件の医原性有害事象が抽出された。最終的に、168件(14.6%)の有害事象が見逃されている可能性が高く、35件(3.1%)が見逃されているかどうか明らかではなく、944件(82.3%)は認識されていた。168件の内訳は薬剤性有害事象133件(79.2%)、手術関連有害事象7件(4.2%)、検査関連有害事象1件(0.6%)、医学的判断による有害事象18件(10.7%)、看護関連有害事象1件(0.6%)、管理関連有害事象8件(4.8%)であった。見逃される医原性有害事象は、意識障害などの中枢神経症状が39%と最も多く、消化器症状27%、代謝・肝機能障害が15%と続いていた。医原性有害事象の重症度では、致死的もしくは生命に関わる有害事象が9件(5.4%)、重大な有害事象が57件(33.9%)、臨床的に重要な有害事象が102件(60.7%)であった。 これにより、日常診療で見逃される医原性有害事象の全体像が明らかとなった。今後の解析を通じて、世界的に日常診療をより安全にするエビデンスを提供することが可能である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前向きコホート研究のデータの分類が完了し、解析用データベースを作成することができた。これらのデータの解析を進めることで、日常診療で見逃される医原性有害事象の臨床疫学を明らかにすることができるだけでなく、見逃される医原性有害事象に関連するリスクファクターや防止・緩和可能性の分析に繋がると考えられる。次年度は、論文化も予定している。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究計画通り、前向きコホート研究の分析を進めながら、詳細な解析及び論文化を進める。また、前年度までにデータ収集を行った外来患者対象の前向きコホート研究について、データの分析及び解析用のデータベース作成を行い、見逃される医原性有害事象を外来患者においても検証する。さらに、見逃される医原性有害事象に関連する診療環境や医療提供体制に関する横断研究を実施し、前向きコホート研究で明らかとなった見逃される医原性有害事象について、要因や対策の分析を行う。 本研究は、単にデータを分析して臨床疫学データを報告するだけではなく、これらの見逃される医原性有害事象の背景にある要因や対策についても分析し、我が国のみならず、多くの先進国の医療における弱点や介入ポイントを明らかにする必要があり、常に共同研究者及び本領域の研究者との情報交換や議論を進めながら、最終的な研究目的に迫っていく予定である。
|
Research Products
(9 results)