2019 Fiscal Year Annual Research Report
地域包括ケア推進のための医療介護総合ニーズ評価手法の開発
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18H03033
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
松田 晋哉 産業医科大学, 医学部, 教授 (50181730)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤本 賢治 産業医科大学, 医学部, 助教 (30800734)
大谷 誠 産業医科大学, 産業保健データサイエンスセンター, 助教 (60738475)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 診断群分類 / Population Health / 医療保険 / 介護保険 |
Outline of Annual Research Achievements |
地域包括ケアシステムを構築するためには、その基盤となる各地域の医療介護の総合的なニーズを把握する必要がある。諸外国でもPopulation health approachを推進する目的で、地域の医療介護ニーズを把握するための診断群分類の開発が進んでいる。本研究では、海外の先行事例及び申請者らがこれまで行ってきた診断群分類の開発とその地域医療構想への応用や医療介護ビッグデータ分析のノウハウ及び申請者の教室でこれまで構築してきた医療介護の総合データベースを活用して、日本版の医療介護ニーズを把握するための診断群分類の開発を試みた。 具体的には、ドイツの医療保険制度で採用されているリスク構造調整(RSA)のロジック及びその基礎となったアメリカMedicareで採用されているCMS-HCC、独自の包括的評価システムを開発しているカナダのHPGsを参考に、我が国のDPCをベースとした医療介護ニーズを総合的に把握する分類を試行的に作成した。 令和元年度研究においては、医科レセプト(入院・外来)、介護レセプトを個人単位で連結し、このデータを用いて個々の傷病及び介護の状況をコード化する上記の評価手法を開発し、さらにそれをQlikviewを用いて地域単位で可視化するプロトタイプを試作し、N-2年度データ及びN-1年度データを用いてN年度の医療介護ニーズの予測を行うことを試みた。検証に用いた地域のデータではN-1年度のデータを用いることで約50%の分散を説明することができた。要介護度3以上の入院・入所の代替性、死亡前の医療費等のばらつきを説明する変数群の確定が今後の課題であることが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
医療介護を総合的に評価するための診断群分類の試験的開発、それを検証するための医療介護総合データベースの開発を行うことができている。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度研究においては、このプロトタイプを用いて、地域レベルでの傷病構造及び介護の状態像を予測するモデルの構築を試みる。モデル構築に当たっては、我が国と同様の社会保険制度のもとでpopulation levelでの推計を行っているドイツのリスク構造調整、及び同じくNational Health Service化にpopulation levelでの推計を行っているカナダのHPGsを参考に、開発したシステムの妥当性を比較検証する。検証にあたっては、モデル構築で用いた地域のデータのみでなく、他地域のデータも用いて外的妥当性の検証も行う。検証の具体的内容は以下のとおりである。 令和元年度研究で開発した分類ロジックをN年度のデータに適用し、その適合性を評価し、適宜修正を行う。N年度のデータで作成した医療介護予防ニーズの予測モデルをN+1年度、N+2年度、N+3年度、N+4年度に適用し、傷病構造及び要介護度の構造、医療介護の総給付費の予測精度を検討する。この結果を踏まえて必要な修正を行い、最終的な分類とそれを用いた予測モデルを作成する。
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