2018 Fiscal Year Annual Research Report
個人内血糖変動モニタリングによる諸指標と糖尿病発症に関する地域コホート研究
Project/Area Number |
18H03050
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
今野 弘規 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (90450923)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
羽山 実奈 公益財団法人大阪府保健医療財団大阪がん循環器病予防センター(予防推進部・循環器病予防健診部・健康開発, その他部局等, 医員 (10731549)
山岸 良匡 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (20375504)
丸山 広達 愛媛大学, 農学研究科, 准教授 (20627096)
服部 聡 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (50425154)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 血糖変動 / モニタリング / 糖尿病 / 地域住民 / コホート |
Outline of Annual Research Achievements |
公衆衛生上の重要課題の一つで2型糖尿病の予防にとって、通常の血糖値やHbA1cでは捉えきれない血糖値スパイクや食後高血糖等の血糖変動を記録できる持続血糖測定(Continuous Glucose Monitoring: CGM)法は新たな知見が得られる可能性がある重要な方法であるが、1日数回の指尖穿刺採血による自己血糖測定による補正が必要など、一般地域集団を対象とした疫学研究への導入は困難であった。しかしながら、補正不要で装着も簡便なFGM(Flash Glucose Monitoring)装置は、地域での疫学研究を可能とした。本研究では、地域集団を対象としたコホート研究により、FGMによる個人内血糖変動の諸指標と糖尿病発症との関連を定量的に分析し、明らかにすることを目的とする。 2018年度は、循環器疫学地域コホート(CIRCS: Circulatory Risk in Communities Study)における茨城農村地域(筑西市協和地区)在住の40~59歳男女および大阪近郊(八尾市南高安地区)在住の40~64歳男女を対象として、特定健診に合わせて検査を実施した。対象者1人1人に対して文書と口頭による説明と同意取得を行ったところ、同意率は、前者で50.0%、後者で45.1%であり、FGM検査実施者は、前者が150人(男41人、女109人)、後者が171人(男38人、女133人)であった。また、FGM検査が2週間フルで記録出来た者は、前者で114人(76%)、後者で119人(70%)であり、一方、記録日数が1週間未満だった者は、前者で15人(10%)、後者で22人(13%)であった。FGM検査実施者には食行動並びに主に糖質と食物繊維に関する食物摂取頻度調査および身体活動量の調査を実施した。現在、FGM検査データおよび食物摂取頻度調査・身体活動調査データのデータセットを構築中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2018年度は、茨城農村地域(筑西市協和地区)250人、大阪都市近郊(八尾市)250人、茨城臨海地域(神栖市)50人、兵庫県尼崎市50人の計 600人について、FGM機器による2週間の個人内血糖変動モニタリングを行う計画であったが、倫理審査等の準備期間も含め、実際に実施出来たのは筑西市協和地区と八尾市の2地域で、さらに、同意率が45~50%程度だったこともあり、実施人数は合計約320人にとどまった。しかしながら、今回FGM検査を実施した対象者には、特定健診および予定していた食物摂取頻度調査・身体活動調査、血清インスリン(IRI)および 1,5-anhydroglucitol(1,5AG)の測定全てを実施出来た。また、それらの実施結果を踏まえて、次年度新たに実施する秋田農村地域(井川町)、茨城臨海地域(神栖市)における実施体制を具体的にすることも出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度は、新たに秋田農村地域(井川町)約200人と茨城臨海地域(神栖市)約200人に実施を予定しているほか、前年度実施した茨城(筑西市協和地区)、大阪(八尾市)においても、それぞれ約150人にFGM検査を実施する予定である。対象者には、前年度同様、特定健診、食物摂取頻度調査・身体活動調査、血清インスリン・1,5AGの測定を実施する。そして、FGM検査による血糖変動に関する諸指標と以上の調査・検査から得られるデータとの関連を分析するため、FGM検査および食物摂取頻度調査・身体活動調査のデータセットの構築を進める。また、75g経口糖負荷試験を実施している兵庫県尼崎市住民を対象としたFGM検査実施に向けて体制を整えて行く。 2020年度も、引き続きCIRCS3地域(井川町、筑西市協和、八尾市)、神栖市、尼崎市の住民を対象としたFGM検査を実施し、2021年度にFGMによる個人内血糖変動の諸指標と糖尿病発症との関連を定量的に明らかにする計画である。
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