2018 Fiscal Year Annual Research Report
Development of the examination of genetic polymorphisms to identify high risk patients for pressure ulcer occurence
Project/Area Number |
18H03068
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
峰松 健夫 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 特任准教授 (00398752)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
真田 弘美 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 教授 (50143920)
仲上 豪二朗 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 准教授 (70547827)
玉井 奈緒 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 特任講師 (80636788)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 褥瘡 / 遺伝子多型 / リスクアセスメント |
Outline of Annual Research Achievements |
褥瘡は、細菌感染などにより患者の生命を脅かすのみならず、痛みや匂いにより患者本人、そして介護者や家族のQOLを著しく損う問題である。褥瘡対策としては、リスクアセスメント基づいてエアマットレスなどによる除圧が行われてきたが、最も高機能なエアマットレスを用いても褥瘡発生を避けられない患者が存在することから、個々人によって異なる外力に対する組織耐久性に応じたテーラーメイド褥瘡ケアの必要性が認識されるに至った。そこで本研究では、遺伝的褥瘡リスクを評価し、ハイリスク者を同定できる遺伝子検査法の開発に取り組む。 まず、褥瘡発生に関連する遺伝子を同定するための動物実験を行った。褥瘡モデルラットの圧迫部組織における遺伝子発現プロファイルより褥瘡関連遺伝子候補を同定し、次にそれぞれの遺伝子の局所的な過剰発現または発現抑制を誘導した後に圧迫を加え、褥瘡発生の有無およびその重症度を評価する。本年度は褥瘡モデルラットの圧迫部組織における発現解析を行った。その結果、MSTNは筋組織における発現低下、HSP90αは筋組織にける発現増加、PAI-1、HIF1、およびHMOX1は皮膚組織における発現増加を示した。これらの遺伝子は褥瘡関連遺伝子候補と見なすことができる。 次に、褥瘡関連遺伝子の発現に関連する遺伝子多型について、長期療養型病院に入院する高齢患者を対象とした研究を計画した。動物実験で候補として同定された5遺伝子に加え、先行研究で報告のあるVEGF-C、VDRおよびMMP9を加えた8遺伝子を対象とすることとした。またこれら8遺伝子の発現/活性に関連が報告されている多型12カ所を解析することとした。本年度は、口腔粘膜から効果的な試料採取法、および資料保存法について確認を行ってプロトコルを完成させると共に、東京大学医学部および金沢大学医学部の倫理委員会に実験計画を申請し、審査を受けている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
褥瘡発生に関連する遺伝子を同定するための動物実験では、発現プラスミドもしくはsiRNAをエレクトロポレーション法で皮膚および皮下組織に導入することとし、エレクトロポレーターの導入および導入条件の検討を行った。次に、褥瘡モデルラットの圧迫部組織における遺伝子発現プロファイルより褥瘡関連遺伝子候補を同定した。その結果、MSTNは筋組織における発現低下、HSP90αは筋組織にける発現増加、PAI-1、HIF1、およびHMOX1は皮膚組織における発現増加を示し、これらが褥瘡関連遺伝子候補として同定された。 次に、褥瘡関連遺伝子の発現に関連する遺伝子多型について、長期療養型病院に入院する高齢患者を対象とした研究を計画した。動物実験で候補として同定された5遺伝子に加え、先行研究で報告のあるVEGF-C、VDRおよびMMP9を加えた8遺伝子を対象とすることとした。またこれら8遺伝子の発現/活性に関連が報告されている多型12カ所を解析することとした。本年度は、口腔粘膜から効果的な試料採取法、および資料保存法について確認を行ってプロトコルを完成させると共に、東京大学医学部および金沢大学医学部の倫理委員会に実験計画を申請し、審査を受けている。
|
Strategy for Future Research Activity |
動物実験では、褥瘡関連遺伝子候補それぞれについてエレクトロポレーション法による局所的な過剰発現または発現抑制を誘導した後に、同部位に圧迫を加える。圧迫後1週間の肉眼的変化、組織学的変化を観察し、褥瘡発生の有無および重症度を評価することで、それぞれの候補遺伝子の褥瘡発生および重症化への関与が明らかになる。 臨床調査では、東京大学医学部倫理委員会および金沢大学医学部倫理委員会の承認を得次第調査を開始する。
|