2019 Fiscal Year Annual Research Report
2型糖尿病モデルマウス皮膚創傷へのエストロゲン創部塗布効果の網羅的解明
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18H03071
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
向井 加奈恵 金沢大学, 保健学系, 准教授 (30755335)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西内 巧 金沢大学, 学際科学実験センター, 准教授 (20334790)
中谷 壽男 金沢大学, 保健学系, 教授 (60198124)
中島 由加里 金沢大学, 保健学系, 助教 (40846680)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 2型糖尿病 / 皮膚創傷治癒 / エストロゲン / マイクロアレイ / 糖尿病性潰瘍 |
Outline of Annual Research Achievements |
糖尿病性潰瘍は世界に4.2億人もの有病者が存在する糖尿病の合併症の一つであり、効果的な局所創傷治療の開発が切望されている。そこで本研究課題においては、2型糖尿病モデルdb/dbマウス皮膚創傷へのエストロゲン創部塗布効果の機序を明らかにすることを目的とし、現在までに以下の成果を得た。 1. db/dbマウスの創作製後7日目と14日目の創部組織でマイクロアレイ解析を実施した。db/db+エストロゲンの創部ではdb/dbの創部と比べて、炎症反応に関与する遺伝子の発現が低下すること、上皮形成に関与する遺伝子やM2マクロファージマーカーである遺伝子の発現が増加することが明らかとなった。また、gene ontology(GO)解析において、db/db+エストロゲンの創部で7日目に[regulation of immune response]、14日目に[Epithelialization]や[Tissue remodeling]のGOが有意に多く観察された。 2. ER-α刺激薬であるPPTとER-β刺激薬であるDPN投与によるdb/db皮膚創傷への有効性を比較した。DPNとPPT投与双方ともエストロゲン創部塗布と同様に創はdb/dbと比べて有意に小さくなった。 3.マイクロアレイ解析においてプロゲステロン受容体の発現がup-regurationしていたため、プロゲステロン投与によるdb/db皮膚創傷への有効性を比較した。プロゲステロン投与によってもエストロゲン創部塗布と同様に創はdb/dbと比べて有意に小さくなった。 4. db/dbマウスの7日目と14日目の創部組織を用いて、LC-MS/MSショットガンによる発現タンパク質の比較解析を行い、db/db+エストロゲンでは多数のタンパク質が変動することを確認した。 5. その他、老齢マウスへのエストロゲン創部塗布の効果等の研究を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今後の研究の推進方策として記載した内容を概ね実施できたため、おおむね順調に進展していると評価した。 ただし、3月に予定していた国際学会への参加が新型コロナウイルスの感染拡大によって急遽中止となったため、成果発表に関して翌年度に繰り越しを行った。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度はマイクロアレイより特異的に変化があった遺伝子に関して、2019年度までに得たサンプルを用いてさらに分析する。また、今まで得られた成果をまとめ、報告する。 繰越額に関して、計画通りに実施する。
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