2018 Fiscal Year Annual Research Report
医療関連感染サーベイランスを活用した感染防止ケアの有効性と経済性
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18H03079
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Research Institution | National Center for Global Health and Medicine |
Principal Investigator |
西岡 みどり 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, その他部局等, 国立看護大学校 教授 (60462785)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 医療関連感染 / サーベイランス / 感染防止技術 / 手指衛生 / 薬剤耐性菌 / 職業感染 / 結核 / 血流感染 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は1)手指衛生、2)呼吸器感染、3)耐性菌、4)その他の各サーベイランスを活用して研究項目(1)~(8)を行い、感染防止ケアの有効性と経済性を検証することである。平成30年度は、1)手指衛生サーベイランスに関する(1)と、2)呼吸器感染サーベイランスに関する(4)と、3)耐性菌サーベイランスに関する(7)を、予定通り実施した。また、3)耐性菌サーベイランスに関する2件の調査を実施した。 (1)看護職の手指衛生行動に影響する組織風土を測る尺度を開発し学術誌に論文発表した。 (4) 計画では、食道癌患者の「せん妄」と「術後肺炎」の関連を明らかにし、令和2年度に(5)として“「せん妄」ケアを考慮した「術後肺炎防止プログラム」を開発して有効性と経済性を検証する”予定であった。平成30年度は、両者の関連を明らかにするための調査を実施した。しかし、多変量解析により「せん妄」が「術後肺炎」の原因になる可能性は低いことが判明した。これは、予想に反する結果であったため計画を変更して (5)を中止することとし、平成30年度の成果を学術学会で発表した。また、重症心身障害児施設の呼吸器感染に関する2件の調査結果(呼吸器感染対策調査、呼吸器感染リスク探索調査)を国内外の学術誌に発表した。 (7) 薬剤耐性緑膿菌ST357株について計画通り検討し学術学会で発表した。進捗が順調であるため、新たに薬剤耐性菌対策に関する2件の全国調査(高齢者施設における薬剤耐性菌対策に関する調査、ベッドサイド看護師の薬剤耐性菌対策における役割に関する調査)を開始し国内外の学術学会で発表した。 いずれの研究項目も、研究者所属施設および調査施設の倫理審査委員会の承認を受けて実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成30年度に予定していた3つの研究項目をすべて実施し、学術学会で成果を発表した。特に、研究項目(1)は、計画では令和元年度までの2年間を予定していたが平成30年度内に完了し、成果を学術誌に論文発表した。さらに、新たに薬剤耐性菌対策に関する2件の全国調査を実施し国内外の学術学会で発表した。 したがって、当初の計画以上に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究は以下のように進める予定である。 1)手指衛生サーベイランス:令和元年度は開発した「看護師の手指衛生に関する組織風土尺度」を医療従事者の利用に供するための作業(WEB公開等)を行う。また、新たに看護師の手指衛生と手指細菌叢に関する調査を開始する。 2)呼吸器感染サーベイランス:令和元年度は、食道癌患者の「せん妄」と「術後肺炎」の関連に関する研究成果を学術学会誌に投稿する。本研究が予想に反する結果であったため計画を変更し、令和2年に予定していた(5)の“「せん妄」ケアを考慮した「術後肺炎防止プログラム」開発と有効性、経済性の検証”は中止する。(6)の“重症心身障害児施設における呼吸器感染症防止プログラムの開発と有効性と経済性の検証”を予定通り開始する。また、効率的な研究遂行のために、新たに結核ケアに関する調査も開始する。 3)耐性菌サーベイランス:令和元年度は(7)の薬剤耐性緑膿菌ST357株についての検討、および薬剤耐性菌対策に関する2件の全国調査(高齢者施設における薬剤耐性菌対策に関する調査、ベッドサイド看護師の薬剤耐性菌対策における役割に関する調査)を、引き続き実施する。 4)その他のサーベイランス:進捗が順調であるため、令和元年度は針刺し切創サーベイランスに関する研究項目に着手する。 以上、4つのサーベイランスに関する研究項目について計画通り遂行する。随時文献検討や関連学会参加等により情報更新をするとともに、中間成果を関連学術学会等で発表する。本研究は、これまでの研究(平成26~29年度JSPS科研費JP26293458)をさらに発展させた研究である。令和元年度も継続して実施している研究項目の成果発表を併せて行う。さらに、令和2年度以降に実施する研究項目の準備として、文献検討や施設視察、最新情報の収集などを行う。
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