2019 Fiscal Year Annual Research Report
AI支援型がん患者の意思決定構造解析を基盤とした情報提供システムの開発
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18H03084
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
川崎 優子 兵庫県立大学, 看護学部, 教授 (30364045)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内布 敦子 兵庫県立大学, 看護学部, 副学長 (20232861)
平井 啓 大阪大学, 人間科学研究科, 准教授 (70294014)
木澤 義之 神戸大学, 医学部附属病院, 特命教授 (80289181)
新居 学 兵庫県立大学, 工学研究科, 准教授 (80336833)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | がん看護 / 行動意思決定論 / 情報機器・知能機械システム |
Outline of Annual Research Achievements |
意思決定支援に関わる要因を明確化するために、看護師1000名、薬剤師400名、MSW100名にWeb調査を実施した。 1.現状:意思決定支援時間は30分以内が59.4%、スクリーニング実施率は34%、意思決定支援に自信があるのは21.4%。意思決定に困難さがうかがえる患者は52.4%、主治医からの説明のみで治療法を決定できる患者は33.4%。 2.意思決定が困難な患者への対応:本人や家族へ補足説明を行うのは、医師67.2%、看護師71.5%、継続したフォローアップを行うのは、看護師61.9%、MSW/PSW60.0%。多職種で連携して意思決定支援に積極的に関わっている者は半数程度であり、患者・家族の意思や価値観を十分に尊重していない様相がみられた。 3.意思決定が困難な患者の把握:医師は「診断時」(61.7%)、看護師は「再発・転移が生じたとき」(73.8%)、「有害事象のコントロールが難しい時」(68.4%)、「他の医療機関へ連携をはかるとき」(61.1%)、MSW/PSWは「治療開始時」(57.0%)で最も高くなっている。しかし、意思決定支援において、準備性を整えること(40.6%)やフォローアップ(31.8%)に関する支援が少ない。 4.がん患者の治療に対する意識:①がん治療が不安な層、②「治療効果に期待する層」、③「支援やケアに期待する層」が生成された。①は再発の割合や治療選択時に困難さを感じた割合が高く、②は症状がある割合が高く、③は積極的に情報収集し自分ごととして処理した割合が高い。 5.看護師、薬剤師、MSWの意思決定支援状況:①「特に意思決定が困難ながん患者のサポートをする層」、②「がん患者の意思決定のサポートは行っていない層」、③「がん患者の意思決定をチームでサポートする層」が生成された。②は年間対応がん患者数(特に外来患者)、手術療法を受けるがん患者数が高い。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
COVID-19の影響により、本調査の開始時期が延期となり、調査期間が延長したため。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、①がん患者の意思決定構造、意思決定支援に関わる医療従事者の臨床判断構造に関する調査の実施。②人工知能・コグニティブシステムの技術を用いた解析。③解析結果をもとにinter-professional approach(多職種連携)の視点から「がん患者の個別の意思決定構造に応じた情報提供システム(最適な医 療者-がん患者間のコミュニケーション支援)」の開発。以上3点を段階的に進める計画である。 がん患者,がん治療を行っている医師,がん治療に関わる看護師・MSW・薬剤師,のそれぞれに対する調査データから,回答内容をクラスタリングして患者のがん治療に対する考え方の傾向を調べた。がん治療に対する意思決定の決め手の一つとして,「自分自身」または「家族」のどちらを重視するのか,ということが発見された.今後は発見された意思決定の傾向を軸として,意思決定の傾向を推定するシステムを構築することを計画している. さらに、支援者(多職種)と使用方法(ウェブアクセシビリティ)の拡大、意思決定に関わる価値観や選択を左右するバイアスの構造化、既存のものには見られない個々の患者に適した情報を提供することができるシステムの開発に向けて効果検証する予定である。
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