2020 Fiscal Year Annual Research Report
Establishing family support through utilization of global research into intervention, via application of the Concentric Sphere Family Environment Theory and clinical reasoning for the family
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18H03095
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
法橋 尚宏 神戸大学, 保健学研究科, 教授 (60251229)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 京子 聖路加国際大学, 大学院看護学研究科, 教授 (30437446)
深堀 浩樹 慶應義塾大学, 看護医療学部(藤沢), 教授 (30381916)
池田 真理 東京女子医科大学, 看護学部, 教授 (70610210)
堀口 範奈 神戸大学, 保健学研究科, 助教 (30870505)
三木 佳子 聖カタリナ大学, 人間健康福祉学部, 教授 (60584175)
濱本 知寿香 大東文化大学, 経済学部, 教授 (00338609)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 家族同心球環境理論 / 介入研究 / 家族臨地推論 / 家族支援 / 家族相談室 |
Outline of Annual Research Achievements |
家族症候として,“スピリチュアルペインによる家族の苦悩”“家族レジリエンスの発達不足”“イベントに対する不適応反応を生じる家族ビリーフの存在”“家族欲求の未充足”などをとりあげた.国内外の文献のシステマティック・レビューなどから,家族症候の影響因子(危険・原因/促進因子,予防・阻止/抑制因子,状況依存性因子)と家族支援策に関するエビデンスを抽出した.倫理審査委員会の承認後,国内外のさまざまな家族に半構造化面接調査を実施し,逐語録の内容分析を行った.研究フィールドは,日本の幅広い地域(都心部,地方部,島嶼部,山間部)で生活する24家族,さまざまな国・地域(インドネシア,フィリピン,ベトナム)で生活する19家族を対象とし,長期間にわたる家族エスノグラフィーと家族インタビュー/ミーティング(遠隔地とはウェブ会議ツールを使用)を実施した.例えば,“スピリチュアルペインによる家族の苦悩”に関しては,国内外の22文献の分析,8家族への半構造化面接調査を実施し,家族のスピリチュアルサッファーリングの影響因子と家族支援策を構築した.また,家族環境アセスメント指標の家族スピリチュアリティを改定した.これに関連し,家族ケア/ケアリング理論に立脚した仏教家族看護学を開発中である.家族同心球環境理論に関しては,開発研究と臨地応用の相乗的な往還により,理論の破れを発見し,創造的な検証(実証)と改良(精緻化)を繰り返しながら発展させ,最新バージョンは3.2になった.機能性項目として,超自然的・超科学的な宇宙などを追加し,家族トランセンデンス理論を開発中である.13種類の家族アセスメントツールは,英語,中国語(簡体字),中国語(繁体字),インドネシア語,フィリピン語版を改良した.これらの成果は,学会誌での公表,学術集会での演題発表・交流集会・基調講演などを行い,国内外に発信した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍にありながら,日本(都心部,地方部,島嶼部,山間部),インドネシア,フィリピン,ベトナムにおいて,グローバルな研究が実施できた.これは,すでにウェブ会議ツールを用いたヴァーチャル家族インタビューを5年前から実施してきたノウハウがあったからである.沖縄県とベトナムを新たに研究フィールドとして開拓し,より多様な家族を対象とできた.予定していた以上の家族症候について,文献検討と面接調査,家族エスノグラフィーを実施した.家族同心球環境理論[Concentric Sphere Family Environment Theory:CSFET]の実践の場である“CSFET式ナースの家族お悩み相談室”は,所属大学の地域連携センターの事業に位置づけられ,地域の家族からの相談に対応した.家族環境アセスメントツールとして,家族プロット年表[Chronological Table of Plot of Family Story:PFS]を新規開発し,家族クロニクル(家族の過去の記録)をアセスメントし,家族の状態の変化のプロセスを明らかにすることが可能になった.PFSの開発論文は,英語論文としてアクセプトされている.家族システムユニットの三元理論の改良,家族トランセンデンス理論の新規開発,仏教家族看護学の新規開発,中医家族看護学の新規開発などを進め,家族ケア/ケアリング/ヒーリング理論の実践体系を強化した.帰納的推論過程によるCSFET式家族看護過程,演繹的推論過程による家族症候の影響因子スキーマと家族臨地推論は改良を続け,英語版,中文版(簡体字,繁体字),日本語版,インドネシア語版,フィリピン語版があり,トランス文化家族看護学への応用が可能である.これらの成果は,多数の論文,書籍,学術集会などで公表しており,当初の計画以上に研究が進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
新たに研究フィールドとして開拓した沖縄県とベトナムを中心として,グローバルな研究を継続する.新型コロナウイルス感染症の状況を踏まえ,すでにヴァーチャル家族インタビュー/ミーティングを実践し,ホワイトボードを活用した家族環境地図の作成などのITリテラシーを獲得し,家族ケア/ケアリング/ヒーリングにも有効であることを確認しており,この活用を継続する.家族支援の実践知・経験知,エビデンスの収集,家族症候別の家族ケア/ケアリング/ヒーリングに焦点をあて,家族同心球環境理論[Concentric Sphere Family Environment Theory:CSFET]にもとづいた家族環境アセスメントモデル[Family Environment Assessment Model:FEAM]と家族環境ケア/ケアリングモデル[Family Environment Care/Caring Model:FECCM]が,研究と家族ケア/ケアリング/ヒーリングに有効であることを確認する.とくに,世界最先端の家族支援を行うために開設した“CSFET式ナースの家族お悩み相談室”の活動を拡大し,外来家族看護に加え,国内外各地における訪問家族看護,ウェブ会議ツールを使用したオンライン家族看護を実践を強化する.また,家族同心球環境理論研究会において,オープンなセミナーやワークショップなどを常時開催しているので,この機会を最大限に活用し,新たな家族ケア/ケアリング/ヒーリングの方法を開発する.モダンな看護理論は,不可視の次元,超越観念を取り入れている.CSFETでは,機能性項目に超自然的・超科学的な宇宙,家族スピリチュアリティを組み込んでおり,不可知,不可視の存在をも射程としており,これをさらに開発することで,家族のスピリチュアルサッファーリングなどに対応できるようにする方針とする.
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