2018 Fiscal Year Annual Research Report
脆弱性を抱えた家族のレジリエンスを促進するケアガイドラインと教育プログラムの構築
Project/Area Number |
18H03097
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Research Institution | University of Kochi |
Principal Investigator |
野嶋 佐由美 高知県立大学, 看護学部, 教授 (00172792)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大川 貴子 福島県立医科大学, 看護学部, 准教授 (20254485)
中村 由美子 文京学院大学, 保健医療技術学部, 教授 (60198249)
中平 洋子 愛媛県立医療技術大学, 保健科学部, 准教授 (70270056)
畠山 卓也 駒沢女子大学, 看護学部, 講師 (00611948)
中野 綾美 高知県立大学, 看護学部, 教授 (90172361)
中山 洋子 高知県立大学, 看護学部, 教授 (60180444)
池添 志乃 高知県立大学, 看護学部, 教授 (20347652)
瓜生 浩子 高知県立大学, 看護学部, 教授 (00364133)
田井 雅子 高知県立大学, 看護学部, 教授 (50381413)
竹崎 久美子 高知県立大学, 看護学部, 教授 (60197283)
森下 幸子 高知県立大学, 看護学部, 准教授 (40712279)
坂元 綾 高知県立大学, 看護学部, 助教 (90584342)
井上 さや子 高知県立大学, 看護学部, 助教 (30758967)
永井 真寿美 高知県立大学, 看護学部, 助教 (50759793)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 脆弱性 / 家族のレジリエンス / 看護学 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度は、脆弱性を抱えた家族の家族レジリエンスを促す看護支援行動の明確化と「脆弱性を抱えた家族のレジリエンスを促す看護ケアガイドライン」の開発を目指して、脆弱性を抱えた家族の体験、家族のレジリエンスを促す看護支援行動を明らかにすることに取り組んだ。具体的に今年度大きな健康被害を及ぼした災害地域において、自然災害に直面し「社会的環境的脆弱性」を抱く家族に対して支援を行った看護者を対象に被災した家族の状況や家族レジリエンスを促す看護ケアやケア提供の課題等を明らかにすることを目的に半構成的面接を行った。 その結果、生活基盤が崩れ、日中からの飲酒の日常化など日常生活の乱れやそれに伴う身体症状の出現、病気治療の中断や新たな住まいの問題等が浮き彫りになっていた。看護者は、初めて関わる住民に対しまずは自分を知ってもらうように一軒一軒声をかけて回り、住民との顔が見える関係づくりに取り組んでいた。本当に困っていることは絶対言ってくれないとの認識をもち、住民の暮らしの中に入り、環境調整や感染症予防に加え、最新の正確な情報を提供し、確実に問題解決できる専門職者につなぐ役割を担っていた。 また住民の「大丈夫」との言動の背景に身体的疲労が存在していることが多いことを認識し、避難所の中では言えない思いをきく場を設け、健康相談を行っていた。生活支援コーディネーター、保健師、社協の人との日々の顔合わせ、情報共有など連携体制を創っていた。 以上のように看護者は、関係構築を図りながら常に虫の目、鳥の目、魚の目をもって状況を視るようにして、個々の真の健康課題、ニーズの把握に努め、日常性を取り戻す支援や人と人をつなぐ支援を行っていた。「社会的環境的脆弱性」を抱く家族に対して、孤立を防ぎ、今の生活だけをみるだけではなく、これまでの生活のあり様、今後の生活の見通し予測しながら関わるようにしていた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の研究計画では、脆弱性を抱えた家族の家族レジリエンスを促す看護支援行動の明確化と「脆弱性を抱えた家族のレジリエンスを促す看護ケアガイドライン」の開発を目指して、脆弱性を抱えた家族に対して支援を行った経験のある看護者(約20名程度)を対象に、家族への看護支援行動(家族の特性、支援の意図、介入方法)について面接し、脆弱性を抱えた家族の体験、家族レジリエンスの特性を明らかにする予定であった。 今年度は、自然災害に直面し「社会的環境的脆弱性」を抱く家族に対して支援を行った看護者を対象に面接調査を行ったが、今後はさらに対象の人数やさまざまな脆弱性を抱く家族への支援行動を抽出していく必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
平成31年度は、「社会的環境的脆弱性」を抱く家族に対して支援を行った看護者の人数を増やして面接調査を実施し、継続して自然災害等「社会的環境的脆弱性」を抱く家族の状況や家族レジリエンスを促す看護ケア、ケア提供の課題等を明らかにする。さらに発達障害や高次脳機能障害などの障害をもつ人とともに生活する家族や死別体験のある家族など脆弱性を抱えた家族を支援した経験のある看護者を対象に面接調査を実施するなど、より面接調査の幅を広げ、家族の病気体験や生活の再構築、家族レジリエンスを高める要因に着目し、抽出していくようにする。以上の分析結果を統合しながら、「脆弱性を抱えた家族のレジリエンスを促す看護ケアガイドライン」の開発を目指していくこととする。 「脆弱性を抱えた家族のレジリエンスを促す看護ケアガイドライン」の作成においては、研究者らが開発した「災害後の家族レジリエンスを促す看護ケアガイドライン」と上記の分析結果、先行文献に基づき、行っていくようにする。さらにケアガイドラインについて専門看護師と研究者からなるグループインタビューを実施し、妥当性、有効性を検証し、洗練化を図るようにする。
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