2019 Fiscal Year Annual Research Report
滑らかな行動を獲得する新しい介入戦略:神経活動の同期化と行動学習
Project/Area Number |
18H03133
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Research Institution | Tokyo Kasei University |
Principal Investigator |
鈴木 誠 東京家政大学, 健康科学部, 教授 (80554302)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平田 晃正 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00335374)
田山 淳 早稲田大学, 人間科学学術院, 准教授 (10468324)
田中 悟志 浜松医科大学, 医学部, 准教授 (10545867)
鈴木 貴子 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 助教 (60549343)
小川 豊太 (濱口豊太) 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 教授 (80296186)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 行動学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度の研究では,前庭神経に対する経頭蓋交流電流刺激(tACS)が眼球と頭部の協調運動に及ぼす影響を検証することを目的とした. 実験では,健常被験者14名を対象とした(男性3名,女性11名,平均年齢33.9歳).眼球と頭部の協調運動を評価するために,視線計測装置により視線運動を記録すると同時に,頸部回旋運動を三次元解析装置により記録した.対象者には,注視点を固視しながら1 Hzのメトロノーム音に合わせた首振り運動を30秒間実施するよう教示した.tACSについては,2.0 cm^2の電極を両側の乳様突起部に貼付し, 100~640 Hzの交流電流を0.4 mAの刺激強度でランダムに組み合わせて提示した.擬似刺激では同様の刺激を1分間提示した.その結果,tACS開始から450秒後に,頭部の回旋運動に対する視線偏倚の遅延時間が疑似刺激よりも有意に大きくなった(p = 0.044).一方,視線の偏倚距離は,tACSと疑似刺激でほぼ同様だった.これらの結果から,疑似刺激では眼球と頭部の反復協調運動により,眼球が頭部に先行して移動するように調節されることが示唆された.一方,tACSによりこの頭部に先行する視線運動の調節が抑制されることが示唆された.ただし,視線の偏倚距離がtACSと疑似刺激で同様だったことから,tACSによる先行的な視線運動の遅延は,頭部と眼球の協調運動の向上を反映している可能性が示唆された. 2019年度の実験により,tACSが眼球と頭部の協調運動に影響を及ぼすことが示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
tACSが行動に及ぼす影響が当初の想定以上に小さいことが予想され,2019年度の予定であったtACSを活用した行動介入プログラムを構築することができなかったため.
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度の研究では,今年度までに行った運動解析の手法を応用し,様々な施設の作業療法士や理学療法士が個別的なサービスとして活用可能な行動介入プログラムを作成する.また,tACSが脳活動および行動に及ぼす影響については,健常者を対象にした実験を継続する.それによって,tACSが滑らかな行動の学習に及ぼす影響を検証する.
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[Book] 行動分析学事典.2019
Author(s)
鈴木誠 (一般社団法人日本行動分析学会 (編))
Total Pages
839
Publisher
丸善出版
ISBN
978-4-621-30313-9