2018 Fiscal Year Annual Research Report
糖化ストレスによる運動トレーニング効果の抑制作用の検証-糖化研究基盤確立に向けて
Project/Area Number |
18H03148
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
江川 達郎 京都大学, 人間・環境学研究科, 助教 (00722331)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤林 真美 摂南大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (40599396)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 糖化 / 運動抵抗性 / トレーニング / 骨格筋 / AGEs |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、糖化ストレスが運動トレーニング効果におよぼす影響を明らかにすることである。本年度はまずC2C12培養骨格筋細胞を用いて、筋形成を抑制するAGEsの探索を行った。5日間分化させたC2C12細胞にmethylglyoxal, MG-H1, MOLDを添加して48時間培養した結果methylglyoxalに筋形成抑制作用が確認された、また作成したmethylglyoxal-modified AGEs-BSAおよびglyceraldehyde-modified AGEs-BSAを添加し48時間培養した結果、glyceraldehyde-modified AGEs-BSAにより筋管細胞直径が33%減少した。以上の結果から、筋形成を妨げるAGEs関連分子として、methylglyoxalおよびglyceraldehyde-modified AGEs-BSAが特定された。 また、糖化ストレス負荷による持久トレーニングへの効果の検証も行った。方法としては、5週齢雄性C57BL/6NCrマウスを、ランダムに1)コントロール群、2)自発運動群、3)糖化ストレス負荷群、4)糖化ストレス負荷+自発運動群の4群に分類し、12週間飼育した。糖化ストレス負荷群には糖化産物の一種であるmethylglyoxal(MGO, 0.1 % w/w)を添加した飲料水を自由摂取させた。自発運動群には、飼育ケージ内に回転ケージを設置し自発運動を行わせた。その結果、運動トレーニングにより骨格筋のGLUT4やPGC1α、HSP72の発現増加が認められたが、その増加は糖化ストレス負荷によって抑制された。以上の結果から、糖化ストレスは持久トレーニングによる骨格筋の適応変化を妨げることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
筋形成の抑制効果があるAGEs関連分子を特定できたことで、次年度以降の糖化ストレス負荷実験の道筋ができたことが大きい。また、持久トレーニングによる運動効果を糖化ストレスが妨げることを示唆する実験結果も得られた。筋肥大に対する影響を検討できていない点は次年度の課題であるが、全体としておおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
現在の課題としては、糖化ストレスによる筋肥大への影響が十分に検討できていない点である。この点に関して、次年度は自発走トレーニングに加え、共同筋腱切除による代償性筋肥大法を用いた検討を行い、筋肥大への影響を明確にしていく。また、糖化ストレス負荷方法に関しても、本年度は経口投与法を用いたが、次年度はより効果が大きい腹腔内投与法に変更して実施する。
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Research Products
(11 results)