2018 Fiscal Year Annual Research Report
筋骨格モデルを用いた変化球投球時の上肢関節負荷の推定
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18H03150
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
松尾 知之 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (00209503)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森下 義隆 独立行政法人日本スポーツ振興センター国立スポーツ科学センター, スポーツ研究部, 契約研究員 (50549483)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | スポーツ科学 / スポーツ医学 / 運動制御 / 生体工学 |
Outline of Annual Research Achievements |
投球障害を引き起こす原因の一つに変化球の多投が挙げられているが、相反する研究結果も多数報告されており、変化球と投球障害との関連性については、未だ明白になってないのが現状である。矛盾する研究結果の原因に、投げ方の個人差、方法論の問題が深く関与していると考え、これらを解消することにより、変化球による関節への負担をより詳細に明らかにすることを本研究の目的とした。 同じ名前の付いた変化球でも投げ方に個人差があることが経験的に知られており、特に指の使い方に関しては大きな個人差があると考えられている。大きな個人差があることは、指からボールに加わる力を直接計測しようとする際(力覚センサーをボールに埋め込む際の位置の決定)に障壁となる。そこで、本年度は、指の動きを含めた全身のモーションキャプチャーを行うことによって、どの程度の個人差があるのかを把握することを試みた。 大学野球投手6名を対象に、第1~3指の中手指節間関節、近位指節間関節、末節骨遠位部および第2~3指の遠位指節間関節に直径6mmのマーカーを貼付するとともに、全身45箇所に直径14mmのマーカーを貼付した。投球練習を含む、十分なウォーミングアップ後に、直球5球、変化球2種類を5球ずつ、計15球の投球を行った。この際の投球動作を16台のカメラのモーションキャプチャーシステム(Vicon VX, VICON)を用い、サンプリング周波数500Hzで計測した。 これまでの結果では、特にカーブの際の第2指の使い方に個人差が顕著に現れていることが判明した。リリース前後で屈曲する投手、ほとんど動かない投手、逆に伸展させている投手も存在し、変化球研究の難しさを感じさせる。体幹や腕の動きに関しては、概ね類似した動き(動きの方向性が同一)をしているものの、直球との比較において、腕の振りの速さ(肘伸展角速度、肩関節内旋速度)の低下が著しい投手もいた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
申請当初予定していなかった他の研究を実施せざるを得なくなり、それに伴い、若干の遅れが生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度のモーションキャプチャーによる実験から、力覚センサーをボールに埋め込んだセンサーボールで、変化球時のボールへ加わる力を直接計測することは極めて難しいことが明らかとなった。このため、ボールに加わる力の計測は、直球のみで実施し、その結果を変化球に応用する方向で進める方策をとることとする。また、進捗状況が予定よりやや遅れていることから、共同研究者を増やし、ボールに加わる力の計測の部分を担当してもらう方向である。 このことから、2019年度は2つの計測を行う予定である。一つは、センサーボールとモーションキャプチャーシステムの同時計測を行うものである。これはモーションキャプチャーシステムだけでボールへ加わる力を推定する際の妥当性検証のための計測である。もう一つは、昨年度と同様のモーションキャプチャーだけを使った投球動作計測で、被験者数の増加を目的としたものである。
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