2018 Fiscal Year Annual Research Report
Effect of cooeprative learning models in Physical Education based on school based Teacher Education program
Project/Area Number |
18H03169
|
Research Institution | Nippon Sport Science University |
Principal Investigator |
岡出 美則 日本体育大学, スポーツ文化学部, 教授 (60169125)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 体育 / 協同学習 / 学校ベース / 教師教育プログラム / 学びに向かう力、人間性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、我が国の学習指導要領に示された学びに向かう力、人間性等に関する指導内容を踏まえ、教師教育プログラムの開発を踏まえ、社会的領域の効果的な学習指導方略の検討を学校ベースでの教師教育プログラムの開発を踏まえて3年計画で進めることとした。教師の個人的要因のみならず、組織的条件の解明も可能になるためである。この目的達成に向け、初年度は、複数の学校を対象に教師教育用プログラムの開発に取り組むこととした。協同学習モデルの概略の説明は、Metzler、Dyson、Kagan & Kagen、Goodyear、Caseyらの英語文献並びに国立教育政策研究所や安永らの和文献を加えて資料を作成した。また、作成した資料を3回の講習会の初回に用いた。プログラムは、3時間(1時間×3セット)を想定して作成した。1回目は協同学習モデルの概略に関す情報提供並びに10分間の模擬授業計画の立案である。2時間目は、10分間の模擬授業の実施、3時間目は実施した模擬授業の映像を踏まえた省察、改善案の作成であった。対象は、小学校教員2名並びに中学校教員3名となった。小学校教員については、2018年11月から2月にかけて、中学校教員については2019年2月から3月にかけてプログラムの提供、模擬授業並びに反省会を行った。また、その効果検証に関しては、事前に指導案の提供を求め、指導案レベルでの情報交換を行った。また、反省会において半構造化インタビューを実施した。なお、小学校教員の実施した模擬授業の映像並びに指導案は、中学校教員を対象とした概略説明時に活用した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新学習指導要領の実施に向け、資質・能力の三つの柱に即した指導内容をバランス良く習得させる効果的な学習指導方略の検討が必要になっている。特に、体育は、人間性に関する指導内容を示した唯一の教科となっていることから、人間性に関する学習指導方略の提案やその効果検証が求められる。この観点からみた既存の効果的な学習指導モデルが、協同学習モデルである。そこで本研究では、現職の小学校教員2名に対し、協同学習モデルの概略並びにそれに基づく学習指導案の作成に必要な情報を提供し、校内研修での10分間模擬授業の実施を求め、そこで直面する課題並びにその解決方法について検討することとした。授業資料の提供は、2018年11月に2回行われ、その後の指導案のやりとりを経て2019年2月に模擬授業が実施された。収集されたデータは、資料提供時並びに授業後のインタビュー、模擬授業の指導案並びに映像であった。その結果、今回提示した授業資料は、現職教員にとり協同学習モデルに基づく授業展開を容易にすることを示唆していた。他方で、指導案作成段階で確認すべき観点の設定が重要になることを示唆された。 また、上記小学校での試行を踏まえ2019年2月から3月にかけ、中学校教員3名を対象に協同学習モデルの概略並びにそれに基づく学習指導案の作成に必要な情報を提供し、3人での模擬授業を実施し、その成果についてインタビューを実施した。インタビュー結果は分析中である。なお、これら3名の中学校教員には2019年度は、実際に行っている授業を対象にデータ収集への協力を依頼した。
|
Strategy for Future Research Activity |
2019年には、協同学習モデルに基づく単元を実施可能な時期を学校と調整する。同時に、単元計画並びに各授業の本時案について、対象教員と協議しながら作成し、授業に臨む。すでに、中学校に関しては3名の教員の合意を得ている。また、小学校に関しては、2名の教員と指導案の作成に取り組んでいる。中学校の教員については、ベースラインデータとなる授業の映像を6月を目安に撮影するとともに、協議を踏まえた授業を秋に実施することを計画にしている。小学校の教員については、6月並びに秋の2回の授業実施を予定している。 本年度の授業実施に際しては、教師と児童、生徒双方のデータを収集する。児童、生徒に関しては形成的授業評価(高橋他、1999)を用い、児童、生徒の自己評価を授業者に短時間でフィードバックする。また、授業中の児童、生徒の様子をフィールドノートに残し、それを踏まえ、教師と協同して指導案の修正を加えていく。 なお、児童、生徒に関しては、単元導入前に体育の授業並びに他教科の授業の様子を複数回観察し、コミュニケーションスキルの実態や授業の様子を記録する。また、複数の児童に対して自己や仲間の成長並びに授業の進め方に関する半構造化されたグループインタビューを実施する。このグループインタビューは、単元中盤並びに単元終了時間並びに単元終了後一月後に実施する。このインタビューの結果は文章化し、そこに反映されている児童、生徒の協同学習の成果に関する認識を確認していく。分析手法は、教師のそれに準ずることとする。
|