2020 Fiscal Year Annual Research Report
老化・疾病をもたらすミトコンドリア機能障害を鋭敏に捕らえる手法の開発
Project/Area Number |
18H03180
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
松島 雄一 九州大学, 医学研究院, 助教 (20571342)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
瀬戸山 大樹 九州大学, 大学病院, 助教 (30550850)
相原 正宗 九州大学, 医学研究院, 講師 (30748843)
内海 健 九州大学, 医学研究院, 教授 (80253798)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ミトコンドリア |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、ミトコンドリア機能異常が老化に関与していること、またミトコンドリア機能異常がパーキンソン病や癌、糖尿病、動脈硬化など生活習慣病発症の引き金となることが示唆されている。しかし現在まで、ミトコンドリアの機能異常を検出する簡便な方法はいまだ確立されていない。そこで本研究はミトコンドリア異常モデルを樹立・解析しミトコンドリア機能異常の特徴を解析し、機能異常を検出する方法の開発を最終的な目的としている。 本年度は前年度に樹立したミトコンドリア機能障害モデル細胞を用いて実験を行った。得られた実績を以下に示す。①ミトコンドリアマトリクスに局在するLONP1はミトコンドリアマトリクスに局在するプロテアーゼであり、LONP1の減少はミトコンドリア呼吸鎖の低下のみならず、様々なミトコンドリア障害が引き起こされる可能性が示唆されている。また、LONP1は加齢とともにその発現が減少することが知られていることから、LONP1の発現低下はミトコンドリアの機能異常の原因の一つではないかと考えられている。このLONP1の発現低下細胞や、ATP加水分解不活性型LONP1を発現させることでドミナントネガティブ効果を示す細胞を用いて解析を行ったところ、ミトコンドリアマトリクスに局在する特定のタンパク質群が不溶化することが明らかとなった。②この不溶化に伴い、 特定の可溶性ミトコンドリアマトリクスタンパク質が激減していた。②この特定の可溶性タンパク質の減少が引き金となり、ミトコンドリア内のタンパク質翻訳の低下すること、未ミトコンドリアでの翻訳低下によってミトコンドリア呼吸鎖が低下することが明らかとなった。③また、他の可溶性ミトコンドリアマトリクスタンパク質の減少によって、呼吸鎖以外のミトコンドリア障害も引き起こされる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ミトコンドリア機能異常を検出できる可能性がある現象を見出した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、ミトコンドリアマトリクスタンパク質の不溶化がどのようなメカニズムによって引き起こされるのかを明らかにするとともに、このミトコンドリアマトリクスタンパク質の不溶化を検出することが可能か検討する。
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