2019 Fiscal Year Annual Research Report
骨格筋におけるPGC-1αの発現増加が動脈硬化の進展を抑制する機序
Project/Area Number |
18H03181
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
三浦 進司 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 教授 (10342932)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 動脈硬化 / マイオカイン / BAIBA / VCAM-1 / MCP-1 / PGC-1α |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度の研究で、動脈硬化易発症モデルマウスであるApoE欠損(「ApoE-KO」)マウスと、「筋PGC-1α」マウスを交配させた「ApoE-KO/PGC-1α」マウスの動脈硬化巣面積が「ApoE-KO」マウスと比較して44%減少しており、骨格筋でのPGC-1α発現増加が動脈硬化進展を抑制することを明らかにした。その抑制機序として、マイオカインであるIrisin、BAIBAが血管内皮細胞におけるVCAM-1遺伝子とタンパク質発現量の増加を抑制することが示唆された。 そこで、BAIBA投与が動脈硬化の進展を抑制する可能性が示唆されたことから、「ApoE-KO」マウスにBAIBAを飲水投与 (170 mg/kg BW/day)し、動脈硬化進展に与える影響を調べた。対照群では「ApoE-KO」マウスに蒸留水を投与した。動脈硬化巣面積は、対照群と比較してBAIBA投与群で約30%減少していた。加えて、動脈硬化巣中のタンパク質発現量を測定したところ、VCAM-1、MCP-1、Mac-2 (マクロファージのマーカー) 発現量が対照群に比してBAIBA投与群で低下していた。また、血漿中のBAIBAは、対照群で検出限界以下だったが、BAIBA投与群では3.4microMだった。 また、骨格筋でのPGC-1α発現増加により発現が増加する分泌性タンパク質を10種類まで絞り込み、そのうち3つの候補因子は血管内皮細胞におけるVCAM-1遺伝子発現の増加を抑制した。以上の結果から、これら因子は骨格筋PGC-1α発現依存的に分泌され、動脈硬化進展の抑制に寄与する新規マイオカインである可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
骨格筋でのPGC-1αの過剰発現が血管内皮細胞における接着因子の発現を抑制して、動脈硬化の進展を抑制することを明らかにすることができた。 BAIBA投与による動脈硬化抑制が確認された。 新しいマイオカイン候補因子を3つ見出し、その効果についてもin vitroで検証することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
PGC-1αTgマウス血中や運動試験を行ったマウス血中における候補因子濃度の測定、また、VCAM-1遺伝子発現抑制に寄与する分子メカニズムの解明などの検討が必要と考えられる。
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[Journal Article] Skeletal muscle-specific PGC-1α overexpression suppresses atherosclerosis in apolipoprotein E-knockout mice.2019
Author(s)
Shimba, Y., Togawa, H., Senoo, N., Ikeda, M., Miyoshi, N., Morita, A., and Miura, S.
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Journal Title
Sci Rep
Volume: 9
Pages: 4077
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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