2019 Fiscal Year Annual Research Report
The role of the DMH in age-associated disturbance of sleep and body temperature
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18H03186
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Research Institution | National Center for Geriatrics and Gerontology |
Principal Investigator |
佐藤 亜希子 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 中枢性老化・睡眠制御研究プロジェクトチーム, プロジェクトリーダー (80800979)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 入眠潜時 / 体温 / 睡眠制限 / 視床下部 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、老化に伴い視床下部背内側核の機能が低下すると、入眠時の体温調節が破綻し、その結果、睡眠障害がもたらされる可能性を検討することである。高齢者は、高頻度になかなか寝付く事ができない問題を抱えている。一方、その分子制御機序の詳細については、未だ不明である。背内側核は、哺乳類における体温調節の中枢としての役割を担っていることが報告されている。昨年度に引き続き、今年度の研究から、背内側核特異的にPR-domain containing protein 13 (Prdm13)をノックアウトしたマウスモデルでは、6時間の睡眠制限後、自由睡眠に戻した際の入眠潜時が有意に延長することが示された。この時、入眠に伴い体温が低下する時間にも有意な差が認められた。また、入眠潜時及び、体温が低下する時間は、雄マウスで顕著に延長しており、性差があることが認められた。一方、定常状態では、Prdm13ノックアウトマウスと対照群の間に体温差が認められなかった。この結果から、PRDM13陽性神経細胞が、睡眠制限後の体温低下を特異的に調節していることが示された。 また、今年度は、PRDM13-CreERT2マウスの背内側核にGFPを発現するアデノ随伴ウイルスベクターを注入することで、PRDM13陽性神経細胞の投射先の同定も行なった。その結果、背内側核PRDM13陽性神経細胞から、体温中枢として知られている視索前野への神経投射が認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の主な研究計画は、背内側核特異的Prdm13ノックアウトマウスの睡眠制限前後の体温変化と定常状態時の体温変化の解析、及び、PRDM13陽性神経細胞の投射領域の同定であった。予定通り、ノックアウスマウスの解析と投射先を同定することができた。また、性差を含む睡眠制限後の体温調節の分子制御機序の解明については、現在も一つ一つ進めている。以上の研究進捗状況から、本研究はおおむね順調に進展している、と考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、睡眠制限後の体温調節の分子制御機序の解明を進めていく予定としている。特に、性差が生ずる要因を明らかにしていく。例えば、PRDM13陽性神経細胞からの神経投射に性差があるのか、明らかにする予定である。また、睡眠制限後の体温変化以外にも、低温被曝下における、ノックアウトマウスと対照群の体温変化を比較をすることで、PRDM13陽性神経細胞が担う体温調節の制御機序を明らかにしていこうと考えている。
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Research Products
(11 results)