2018 Fiscal Year Annual Research Report
高次脳機能の維持・改善に重要なヒト脳内代謝機序の解明と運動・栄養処方基盤の創出
Project/Area Number |
18H03200
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
橋本 健志 立命館大学, スポーツ健康科学部, 教授 (70511608)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小河 繁彦 東洋大学, 理工学部, 教授 (80553841)
家光 素行 立命館大学, スポーツ健康科学部, 教授 (90375460)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 脳内代謝 / 認知実行機能 / 運動 / 乳酸 / 動静脈較差 / メタボローム / 中高齢者 |
Outline of Annual Research Achievements |
運動による認知機能亢進の作用機序は未解明な部分が多く、具体的方略は不明瞭なままである。本研究では、中高齢者を対象とした運動処方基盤を構築し、且つ、好適な栄養処方を付加できるよう、脳内エネルギー代謝が認知機能亢進に及ぼす影響や、運動・栄養処方による脳機能応答の詳細をヒトにおいて生理・生化学的に明らかにし、脳機能亢進や認知症予防に極めて重要かつ独創的な機序の解明と、適切な実践的応用方略策定の学術的基盤を創出することを目的とする。本研究では、上腕動脈と頸静脈にカテーテルを挿入し、乳酸、グルコース、酸素や神経伝達物質、脳由来神経栄養因子などの脳を介した動静脈較差(Across the Brain)を算出することにより、運動・栄養処方に対するヒト脳内代謝動態を測定し、認知機能との関連性を検証するという他に類を見ない研究アプローチを推進するものである。高次脳機能の維持・改善に重要な生理的ストレスに関する学術的基盤創出に貢献し、認知機能向上に適した運動・栄養処方の具体的方略の策定に寄与し得るものと考えている。 本年度は、高強度間欠的運動前後でのヒト脳内代謝をメタボローム解析によって網羅的に解析する実験を推進した。動静脈較差(Across the Brain)を算出することにより、これまで認識されていなかった代謝動態が明らかとなった(論文投稿準備中)。 また、運動と脳循環応答との関係性において、高強度間欠的運動では、脳自己調節機能は保持されていることを明らかにした(Tsukamoto et al., MSSE 2018)。 一方、日本人を対象に、年齢と認知実行機能との関係性を整理するとともに、中高齢者に対する一定期間のレジスタンス運動が脳機能に与える効果についても検証した(論文投稿準備中)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高強度間欠的運動前後でのヒト脳内代謝をメタボローム解析によって網羅的に解析する実験結果は、膨大なデータの整理、解析に時間がかかり、論文投稿準備中である。 一方、安定同位体を用いて、運動に対するエネルギー代謝(酸化利用)と実行機能との関係性を精査する実験については、解析を進めてまとめている段階であり、論文投稿準備中である。 日本人を対象に、年齢と認知実行機能との関係性を整理するとともに、中高齢者に対する一定期間のレジスタンス運動が脳機能に与える効果について検証する実験は、滞り無く完遂し、現在論文投稿準備中である。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、メタボローム解析によって、高強度間欠的運動による脳の代謝産物についての網羅的解析についての成果を学術論文にて公表する。また、安定同位体を用いた脳内エネルギー代謝の詳細と認知実行機能との関係性についても学術論文にて公表する。さらに、中高齢者に対する一定期間のレジスタンス運動が脳機能に与える効果についての検証結果も、学術論文にて公表する。 引き続き、運動に栄養を組み合わせることで、効果的に認知実行機能を改善し得る方略を検討していく。
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Research Products
(10 results)