2021 Fiscal Year Annual Research Report
分散協調における相互作用――通信,移動,観測の役割の解明――
Project/Area Number |
18H03202
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山内 由紀子 九州大学, システム情報科学研究院, 准教授 (10546518)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 分散協調 / モバイルロボット / 自律適応性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,計算主体間の相互作用が分散協調において果たす役割の解明である.従来の分散システムモデルで想定されていた計算機間のメッセージ通信だけではなく,ロボット群などのモバイル計算主体群モデルにおける移動や観測など,様々な相互作用を研究対象とすることで,単一の分散システムモデルでは発 見できなかった分散協調の原理を系統的,効率的に発見することを目指し,(i) 計算主体の匿名性により生じる対称性と相互作用の関係の解明,(ii) 観測や移動 による相互作用の局所性,並列性に対して,記憶が果たす役割の解明,(iii) 簡潔な分散アルゴリズムの実現に取り組む. 令和3年度と研究費繰越を行なった令和4年度は(ii),(iii)に関する研究に取り組み,以下の成果を得た.(a) 二次元格子領域を移動するモジュール群が集合的に構成するモジュールロボットに対して,モジュールが積み上がるモデルを提案し,与えられた領域を探索する手法と必要なモジュール数を示した.モジュールが積み上がることでモジュールの配置,つまりモジュールロボットの状態が増え,積み上がりを許さない従来のモジュールロボットに比べて少ない台数で探索が行えることを示した.(b) 予め色が塗られているロボットの集合に対して,各ロボットが自身の色を観測できないという観測能力の差異の下で,ロボット群が自律的に色ごとに分離する問題を提案し,その解法を与えた.この問題は,故障したロボットを正常ロボットから分離するなどの応用が期待できる.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究費の繰越を行なったことで,当初予定していた離散空間を移動する移動計算主体群の探索問題,観測能力が正確でないモバイルロボット群の分離問題についても研究成果を取りまとめることができた.
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究成果を迅速に国際会議,論文誌に投稿する.離散空間を移動するモジュールロボットの分散協調や観測能力に差異があるモバイルロボットモデルに関する本年度の成果をもとに,今後はモバイル計算主体群のための簡潔な分散アルゴリズムの設計に取り組む.特に,ハードウェア特有のバッテリ制約やセンシングの誤差,通信などの追加機能を取り入れた分散アルゴリズムの開発に取り組む.
|