2018 Fiscal Year Annual Research Report
技術的負債エンジニアリング - 優先的に解決すべき技術的負債の解明とモデル化
Project/Area Number |
18H03222
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
亀井 靖高 九州大学, システム情報科学研究院, 准教授 (10610222)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊原 彰紀 和歌山大学, システム工学部, 講師 (40638392)
松本 真佑 大阪大学, 情報科学研究科, 助教 (90583948)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 技術的負債 / リポジトリマイニング / オープンソースソフトウェア / メトリクス / モデル化技法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,慢性的なリソース不足を開発プロジェクトにもたらす技術的負債に対して,リポジトリマイニングを軸とする工学的アプローチを開発し,優先的に解消すべき技術的負債の解明とモデル化を目指す.そのために,サブゴール(S1) 多種多様な技術的負債の体系化/検出,(S2) 技術的負債のインパクトの実証的調査,(S3) 債務額の大きい技術的負債のモデル化に取り組む.各サブゴールにおける研究実績の概要は次の通りである. (S1)「技術的負債の体系化と基礎データ構築」を行った.主な研究実績は,(1-1) ACM等の検索エンジンから,技術的負債の中の1つであるSATD (Self-Admitted Technical Debt)を扱っている可能性のある論文候補を37編見つけ,精読した上で実際にSATDの研究を行っている19編を特定したこと,(1-2) それらの論文を3つの大区分に分類し,今後目指すべき研究の方向性を13つ示したことである.その他の実績として,技術的負債を示唆するキーワードを絞り込み,2,500以上のSATDを含む基礎データを構築した点なども挙げられる. (S2)「技術的負債のインパクトの調査」では,実開発における技術的負債のインパクトをより正確,かつ,幅広く捕らえるために,15名の実務者を対象とするサーベイを行った.選択式(自由記述も可)10種類以上の負債額の候補となるメトリクス群(負債を含むコードの更新頻度等)を提示し,その結果,2つのメトリクスを選定できた.現在,その成果を論文にまとめ投稿中である. (S3)「予測技術の開発」では,深層学習のアプローチの拡張を行った.その成果は,債務額が大きくなるか否かを予測するモデル化技術として利用できると期待できる.また,マイニング処理の基盤の準備(Gitの前処理技術等)を進め,今後,効果的に研究を進めることが可能となった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成30年度の研究計画・方法に記載した「研究の目的」をおおむね達成できており,その内容を研究会において発表できた.また,成果の一部を活かした研究内容が論文誌,および,国際会議にも採録された.特に「技術的負債の体系化」に向けた文献調査の論文が英文論文誌に採録された点は大きな成果である.現在,その成果を発展させ,論文誌や国際会議に投稿している段階であり,一定の成果も出ているため,おおむね順調に進展していると考える.
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Strategy for Future Research Activity |
現在までの進捗状況は,おおむね順調に進展している.平成30年度でも行ったように,今後も国内外の研究会に積極的に参加し,多面的に意見を取り入れることで問題の早期解決を目指す.さらに,研究分担者と定期的にテレビ会議システムを用いた進捗報告,及び,意見交換を行う予定である.
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