2018 Fiscal Year Annual Research Report
情報理論的暗号理論における統一的パラダイムの深化、発展とその応用
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18H03238
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
四方 順司 横浜国立大学, 大学院環境情報研究院, 教授 (30345483)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 勉 横浜国立大学, 大学院環境情報研究院, 教授 (40183107)
岩本 貢 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 准教授 (50377016)
太田 和夫 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 教授 (80333491)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 暗号理論 / 情報理論 / 情報理論的安全性 / 暗号・認証 / 高機能暗号 |
Outline of Annual Research Achievements |
現在の多くの暗号技術は計算困難な数学的問題に基づいて設計されている。一方、計算困難な問題に依拠しない形で、原理的に安全といえる強固な安全性として情報理論的安全性がある。我々は既に暗号理論と情報理論に跨る多様な概念を俯瞰的かつ体系的に扱うことのできる統一的パラダイムを暗号化方式等の暗号プリミティブ(要素技術)に対して構築してきたが、本研究では、それを更に発展させ複雑かつ高機能な暗号プロトコルに拡張するとともに、さらに幅広い応用を目指すことを目的としている。これにより、情報理論的安全性をもつ高機能暗号や様々なプロトコルを構築でき、それらの幅広い応用が可能になる。
初年度である平成30年度は、統一的パラダイムを複雑かつ高機能な暗号プロトコルに拡張することを目的に、様々な情報理論的安全性や計算量的安全性を有する高機能暗号や暗号プロトコルの基盤となる数理的構造を解析し、また新たな構成法の提案を行った。特に、そのような高機能暗号や暗号プロトコルとして研究対象にした方式は、(完全)準同型暗号、検索可能暗号、署名付き暗号、しきい値暗号、匿名放送暗号、マルチパーティ計算、カードベースプロトコルである。また、応用研究として、IoTデバイスのセキュリティに着目して、物理層セキュリティや高機能暗号の実装解析を行い、学術的に新たな知見を得ることができた。そして、上記の研究成果は、国内外の学術会議や論文誌で発表している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要に既述したように、本研究課題を解決するにあたり、初年度としては理論面及び応用面の双方から十分な研究成果を出せたと考える。したがって、進捗状況は、おおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、現存する情報理論的暗号理論に対して、情報理論及び暗号理論の両見地からの統一的枠組み(パラダイム)を更に発展させ、複雑かつ高機能な暗号プロトコルを研究対象にすることである。また、本研究における理論的成果を利用した応用技術や、その効果的な応用先に関しても研究する計画である。 2019年度は、研究課題に対する理論研究及び応用研究の実施計画として、以下の研究課題に取り組む。 (1)理論研究:情報理論的暗号理論における統一的パラダイムを深化・発展させて、情報理論的暗号理論における完全準同型暗号、関数暗号の高機能暗号の構成に本格的に挑戦する。また、それ以外の高機能暗号として、情報理論的暗号理論におけるマルチパーティ計算、カードベースプロトコル等に関する構築法を研究する。 (2)応用研究:情報理論及び暗号理論の両見地からの統一的枠組み(パラダイム)を計算量的安全性をもつ暗号技術構成に応用する研究、また、IoTデバイスのハードウェアセキュリティ、物理層セキュリティ等への応用研究を更に実施する。
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