2019 Fiscal Year Annual Research Report
Novel user interface using transparent screen camera
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18H03256
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
山口 雅浩 東京工業大学, 工学院, 教授 (10220279)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ホログラム光学素子 / 画像入力 / ユーザインタフェース / ディスプレイ |
Outline of Annual Research Achievements |
透明平板スクリーンのための導波路型ホログラム光学素子(HOE)の記録について、より大きなHOEを作成する光学系を構築し、記録実験を行った。そして物体光の均一性の改善・不要なノイズ光の除去・回折効率向上などを図るため光学系や露光条件の改善を行った。そして、前年度の検討で採用した反射型ホログラム2枚を用いた構成に基づき、より大きな導波路型HOEを用いて多重像が得られることを、実験的に確認した。また像の位置に応じて体積型ホログラムにおける回折光のブラッグ条件の違いが生じ、異なる波長の光が結像していることが観察された。そこで光線追跡によるモデルに対してブラッグ条件を考慮することにより、記録される像の波長特性についても検討を行った。 本システムでは、HOEの回折像に加えて、ガラス境界面での反射光など不要光が背景に混入する。体積型ホログラムは波長選択性があるためある狭帯域の波長範囲の光のみが回折するが、直接反射光などは全波長帯域にわたる光となるため不要光の輝度は高く大きな問題となる。本研究では、マルチスペクトル撮影により、ホログラムによる回折光と鏡面反射光を分離し、背景成分を除去する分光画像処理手法を提案した。そして計算機シミュレーションによりその原理を確認するとともに、バンド数と分離精度の関係を明らかにした。さらに16バンドマルチスペクトルカメラを用いた実験システムに提案手法を実装した。提案手法はウィナー推定に基づく簡易な計算で分離を行えるため、一般的なPC上でリアルタイム動画像処理を行うことができた。 本透明スクリーンカメラをディスプレイ直前に配置することにより、ディスプレイに近接したジェスチャー入力を行うシステムに関して基礎検討を行った。特にディスプレイに触ることなく3Dタッチ入力を行うシステムに提案した透明スクリーンカメラを応用することを想定し、基礎的な実験を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ホログラムのサイズや均一性に課題があり、フォトポリマーに対するホログラム記録を行う実験方法に改善の余地があった。本年度は均一性の改善方法などを検討し、より大きなホログラムによる導波路型HOEを制作することに成功値、実験的に多重像を得ることができたことから、想定した到達点に近い進捗と言える。多重像からの実験的な再構成に関しては翌年度に実施することとした。 一方、マルチスペクトルを用いた背景成分の分離に関しては想定以上の進展がみられ、リアルタイムでの実装まで行うことができた点は評価できると考えている。本内容については学術論文として間もなく投稿する予定である。さらにモザイクフィルタ方式の単板マルチスペクトルカメラのモザイク構造の影響が生じることが明らかになり、その影響を除去するために3次元ウィナー推定の適用に関しても成功した。 ジェスチャーや非接触タッチ入力への応用、スマートフォンへの応用に関しても基礎的な検討を行うことができ、これらを総合すれば、ほぼ想定通りの進捗と考える。
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Strategy for Future Research Activity |
導波路型HOEを用いた撮影システムの光学特性を明らかにするため、前年度までにモデル化した光線追跡を用いて、撮像できる被写体サイズや波長特性、ブラッグ条件による拘束を考慮した検討を行う。また3波長で記録したホログラムを用いてフルカラー化の検討をシミュレーション及び実験的に行う。 多重像からの画像再構成を行うため、ディスプレイを被写体としてインパルス応答の計測を行うとともに、光線追跡シミュレーションの結果と合わせてモデル化精度の向上を検討する。反復的画像再構成手法を適用して画像品質の改善を図る。 分光画像処理を用いた背景成分分離手法については、RGBカラーHOEへの適用、より少ないバンド数で分離する方法の検討を行い、より実用性の高い手法を開発する。 さらに高機能なHOEを用いて透明スクリーンカメラの特性を生かす応用について非接触タッチ検出・ジェスチャー認識や視線一致自撮りスクリーンなどの検討を進め、高機能HOEの記録実験、デモシステムの構築を実施する。
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