2018 Fiscal Year Annual Research Report
光受容タンパク質を用いた単純細胞受容野型フィルター素子の作製と画像処理
Project/Area Number |
18H03258
|
Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
岡田 佳子 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 准教授 (50231212)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西岡 一 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 教授 (70180586)
高橋 裕樹 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 准教授 (80262286)
笠井 克幸 国立研究開発法人情報通信研究機構, 未来ICT研究所フロンティア創造総合研究室, 主任研究員 (90359084)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | バクテリオロドプシン / 受容野 / 単純型細胞 / 画像フィルター |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,光受容タンパク質バクテリオロドプシン(bR)懸濁液をインクとしたインクジェット印刷法によって bR 膜厚分布を制御し,なめらかな分布をもつグレースケール(多値化)画像フィルターの実現をめざしている. 本年度8月末に導入されたマテリアルインクジェットプリンターを用いて,bR懸濁液を用いた成膜を開始した.最初にインクとなるbR 懸濁液濃度を検討した.濃度が低い(粘度が低い)と成膜パターンの周縁部に bR が集中してしまうコーヒーリング現象が発生し,膜の均質性が損なわれた.マテリアルプリンターの吐出条件を変更して均質性の改善を図ったが,改善が見られなかったため,マテリアルプリンター吐出条件を固定して懸濁液濃度を増加させた.懸濁液濃度が高すぎるとインクジェットノズルが詰まり吐出不良につながるため,先行研究の5.0 mg/ml を上限として 0.5 mg/ml ずつ濃度を変えた.濃度4.0 mg/ml の懸濁液を用いてITO電極基板に成膜をおこなったところ,液滴同士の凝縮による成膜のムラはあるが吐出不良は生じなかった.そこで1 層,2 層,4 層,8 層,16 層,24層の bR 膜をインクジェット成膜し,これらの基板を用いて bR 光検出器を作製した.それぞれ光電流応答を測定したところ,bR16 層付近で出力が最大となった.16 層の インクジェット bR 膜の平均膜厚がおよそ 110 nm であることから,従来のディップコート法で最大出力が得られるbR膜厚140 nm程度と大きく矛盾しない結果となった.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マテリアルインクジェットプリンターの導入が8月末で,実験開始が後学期となってしまった.当初bR 懸濁液インクがインクジェットノズルに詰まってしまい,吐出不良とコーヒーリング現象の発生により,均質な膜が作製できなかった.しかしメッシュフィルターによる濾過,懸濁液濃度と吐出条件を詳細に検討した結果,従来のディップコート法で作製した光検出器と同程度の光出力が得らるようになった.まだパターニングおよび受容野作製には至っていないが,プリンター導入初年度としては概ね予定通りの進捗状況と考える.
|
Strategy for Future Research Activity |
マテリアルインクジェットプリンターによるタンパク質印刷の膜厚を制御するため,タンパク質濃度,濾過フィルターメッシュサイズ依存性 ,プリンターの吐出条件など最適化する. 単純型細胞を模倣した受容野は,cos型Gabor関数とsin型Gabor関数で表され,二値化した場合にはどちらも単純な長細い楕円形で記述できる.最初に二値化 cos型Gaborフィルターの3ローブおよび5ローブ,同時に二値化 sin 型Gaborフィルターの2ローブと4ローブを作製する.高輝度液晶プロジェクターとプレゼンテーションソフトを用いて,光エッジ,光バー,様々な空間周波数とコントラストをもつ正弦波/矩形波グレ ーティング画像を用い,静的に明滅または動的に走査して時空間応答特性を測定し,評価する.この結果を従来方法であるディップコート/ ピールオフ法を用いて作製した二値化Gaborフィルターの結果と比較し,インクジェット印刷方法の優位性を検証する. マテリアルプリンターに入力する画像データを,二値化から三値化,四値化と順に多値化して,視覚受容野を3次元的に模倣したタンパク質膜のグレースケールパターンを形成する.
|
Research Products
(4 results)