2019 Fiscal Year Annual Research Report
高齢操船者のヒューマンエラーを予防するAR操船支援システムの開発
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18H03280
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Research Institution | Nagaoka National College of Technology |
Principal Investigator |
池田 富士雄 長岡工業高等専門学校, 機械工学科, 教授 (30353337)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井山 徹郎 長岡工業高等専門学校, 機械工学科, 准教授 (00452087)
外山 茂浩 長岡工業高等専門学校, 電子制御工学科, 教授 (60342507)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ヘッドマウントディスプレイ / ベクション / AR(拡張現実) / ヒューマンエラー |
Outline of Annual Research Achievements |
小型船舶の海難事故件数が減少傾向にある一方、高齢の操船者による海難事故が近年増加している。海難事故で最も多いのが衝突海難であり、その原因の大半はヒューマンエラー、つまり操船者の過失によるものである。高齢操船者のヒューマンエラーは、認知機能の低下、反応動作の衰え、視野狭窄等の要因が複合して誘発されると考えられる。しかしながら従来の小型船舶の操舵系は、車両の操舵系などに比べて外部刺激が圧倒的に少なく、常に状況認識のレベルを高く保つ必要があるため高齢者にとって負担が大きい。本研究ではAR(拡張現実)技術を用いた、ハプティクス(触覚刺激)により負担の少ない外部刺激を与えるとともに、HUD(ヘッドアップディスプレイ)により効果的な視線情報を提示することで、加齢により低下した身体能力の補完支援を行うことを目的としている。 上記の目的を達成するため、(1) 支援システムにおいて要求される性能を精査し、必要とする機器の調査を行った。このため研究協力者らと必要に応じて要求仕様の打ち合わせを行い、支援システム環境の妥当性や実現における問題点を抽出した。 (2) 高齢操船者の操船の特徴を抽出するため、現有の操船シミュレータを用いて操船行動を計測した。海難審判所の海難事例データを基に、周囲に複数の船舶が存在する複数のタスクを含む実験シナリオを作成し、シミュレーション実験を実施した。 (3) ヘッドマウントディスプレイ(HMD)を用いたサポート情報の視覚提示により、視線移動による操船者の負荷を軽減させることを目的として、HMDでの表示を想定したVR環境を構築し、ベクションと呼ばれる現象を用いた表示手法により速度低下を促す効果を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
操舵シミュレータを用いた操船行動の計測、および複数タスクを含む実験シナリオの作成は予定通り実施できた。さらにベクション現象を用いた表示手法により速度低下を促す効果を得るデバイスを開発し、評価実験を行えたことから、研究はおおむね順調といえる。
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Strategy for Future Research Activity |
一人用のモーションベース装置を構築し、AR/MR技術を用いて臨場感のある操船シナリオを作成する。操船実務経験のあり・なし、および年齢別の被験者に対して、シナリオの経過とともに周囲の船舶の優先順位の変化に対する操船動作を計測する。全身動作は全身モーションキャプチャシステム、手の動きはデータグローブで計測することにより、ヒューマンエラーに至る身体動作の特徴を抽出する。装置開発および実験を進めると共に、関連する研究分科会や講習会などに参加し、先端的な技術を取り入れつつ研究者らと意見交換を行いながら、常に新たな研究手法を模索する。
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Research Products
(4 results)