2019 Fiscal Year Annual Research Report
協調型シェアリングサービスにおける社会的受容性・持続性に基づく価格設定手法
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18H03301
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
野田 五十樹 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 総括研究主幹 (40357744)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
櫻井 祐子 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 主任研究員 (10396137)
金森 亮 名古屋大学, 未来社会創造機構, 特任准教授 (40509171)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | MaaS / 実証実験 / メカニズム設計 / 配車割り当て / 同時学習 / シミュレーション分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
メカニズム設計アプローチでは、タクシーライドシェアリングにおける,コスト配分に対する乗客間の公平性に関して,協力ゲームの枠組みを用いた分析等を行った.具体的には,オンラインアンケートを実施し,人々のコスト配分に関する選好を取得し,機械学習によってコスト配分に関する予測モデルの構築を行った. 交通計画アプローチとしては、昨年度に引き続き、静岡市の居住者を対象としたMaaS実証実験(国交省補助実験)の企画・実施に関与し、MaaSの利用者に加えて、非利用者の利用意向を把握することでセレクションバイアスに対処できるアンケート調査を実施した。予想通り、利用者は非利用者と比べて、普段の公共交通利用頻度が高く、自動車保有意識が低く、MaaS導入によって利便性がより高くなる可能性が高い集団であることが確認された。一方、定額制に対する利用意向としては、3割が都度払いが良い、と回答しており,サブスクリプションのサービス設計として複数の選択肢を用意することが重要であり、引き続き,内容を検討することの必要性を確認した。 マルチエージェント学習アプローチでは、前年度に開発した、サービス選択利用者・競合事業者エージェントシミュレーションを拡張し、競合事業者のサービス体系を進化的方法により変化・探索を行えるようにした。これを用い、公共交通サービスの料金設定を、利用者の利用選択学習と、運行事業者の進化論的世代交代により、持続可能で競争力のある設定を探索する方法について提案し、実験によりその挙動を確認した。その結果、かなり狭い領域が有効なパラメータ設定となりうることが示された。また、この進化結果と、前年に求めたサービス指標での評価を比較し、その相関性と相違点について、考察を行った。これにより、前年度の指標は近似評価として利用可能であることをが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
メカニズム設計アプローチでは,コスト配分における公平性の分析に関する研究成果を国際会議にて発表を行うなど,おおむね順調に進んでいる. 交通計画アプローチでは、実際のMaaS実験に関与し、利用者に加えて非利用者の意向も把握することで、都市全体の利用意向を把握するモデル化が期待できる。 マルチエージェント学習アプローチでは、料金設定問題について、進化的なアプローチで競争力・持続性を共に備えた利用方法を、エージェントシミュレーションにより洗い出せる方法を確立できた。これにより、今後、より多様なサービス設計への技術の適用が可能になったと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、協調型シェアリングサービス対して、3つのアプローチにより、社会的受容性・持続性に基づく価格設定手法の確立のための研究を推し進める。 メカニズム設計アプローチでは,乗客からの情報提供に関するインセンティブ設計の検討を行うとともに,公平なコスト配分など,これまでの研究成果を統合することで,効率的な配車システムの実現を目指す. 交通計画アプローチでは、これまでに得られた利用者意向データを用いて、利用者層の潜在クラスモデルを構築し、価格感度を踏まえたサービス設計の方向性を検討していく予定である。また、静岡MaaSの関係者と議論し、現場のニーズを踏まえたデータ分析結果を共有し、サービス改良に資する研究を目指す。 マルチエージェント学習アプローチでは、持続可能なサービス形態を、より幅広い状況下で評価するため、シミュレーション条件の多様化を図ると共に、サービス規模の調整などの要素についても分析を進め、手法としての確立を目指す。
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