2019 Fiscal Year Annual Research Report
遅延時間を活用した丈夫で多様なネットワークダイナミクスの設計・構築とその応用展開
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18H03306
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
小西 啓治 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90259911)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大谷 真弘 奈良工業高等専門学校, 電気工学科, 准教授 (10353301)
原 尚之 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10508386)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 遅延時間 / ネットワーク / ダイナミクス / 制御工学 / 複雑系 / 遅延 |
Outline of Annual Research Achievements |
現代社会を支える通信/交通/物流/エネルギーのネットワークには,サブシステム間を流れる情報/人/物/エネルギーのダイナミカルな挙動が生じる.挙動の理解には,流れ・ダイナミクスと,流れに伴う「遅延」の把握が不可欠である.本研究では,大規模かつ複雑なネットワークダイナミクスの基盤的な知見を調査しつつ,「遅延」がこのネットワークダイナミクスに与える影響を,基礎的な視点で探求する.2019年度の具体的な成果は以下の通りである. 【1.遅延結合発振器ネットワーク】複数の同一発振器を拡散的に結合しても,発振器は発振を止めることなく動作し続ける.一方,この拡散に「遅延」が伴うと,全ての発振器が一斉に発振を止める事態となる.これは「遅延結合に誘発された振動停止現象」と呼ばれている.(1) 従来の遅延結合にフィードバックループを追加した「拡張型遅延結合」を導入することで,この現象がネットワークでも容易に生じることを見出し,さらに,ネットワーク上で,拡張型を導入する位置がこの現象に与える影響を調査した.(2) 4個の発振器を一方向遅延結合によってリング状に接続し,発振器の固有周期よりも十分に長い周期で,結合の方向を入れ替えると,全発振器の振動が抑制されることを見出した.さらにカオス発振回路を用いてこの現象を実験的に検証した. 【2.直流給電ネットワーク】 直流給電ネットワークの基本回路に,Act-and-wait遅延フィードバックを施し,動作点のベイスン(初期値領域)を回路実験により調べた. 【3.ロボット群のフォーメーション制御】 結合位相振動子の同期ダイナミクスを活用したロボット群のフォーメーション制御に,結合遅延(バイアス)を導入することで,共存するフォーメーションの初期値領域の大きさが調整できることを,実機実験で示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究は順調に進展していたと判断できる.特筆すべき点は,振動停止現象と似通った「振動抑制現象」が,ネットワークのトポロジーの切り替えだけでなく,結合信号の方向の切り替えでも生じることが明らかになり,さらに,この現象を回路実験で再現できたことである.また,直流給電ネットワークとロボット群フォーメーション制御についても,実機実験による検証が実施できたことは,評価できる.
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Strategy for Future Research Activity |
本年では,複数のサブテーマを,相互作用させながら並行して進めてきた.今後,この相互作用をより強いものとし,異なるサブテーマの調査結果を有効活用する意識をさらに高めていけば,オリジナリティのある成果が効率よく生み出されていくものと考えられる.
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Research Products
(9 results)