2019 Fiscal Year Annual Research Report
オノマトペや比喩による主観表現に着目した病態分類に基づく診断推論支援システム構築
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18H03319
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
坂本 真樹 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 教授 (80302826)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松田 隆秀 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 教授 (40190475)
藤林 和俊 順天堂大学, 医学部, 准教授 (40722351)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 診断推論システム / オノマトペ / 比喩 / 認知症 / 質感 |
Outline of Annual Research Achievements |
“早期発見”は、脳梗塞や癌など様々な病気の予後を決める上で重要である。本研究は、医療現場で患者が痛みなどの不快感を表す際に用いる「がーん」といったオノマトペ(擬音語・擬態語の総称)や「ハンマーで殴られたような」といった比喩などの主観表現に着目した病態分類に基づく診断推論支援システムを構築し、病気の早期発見を可能にする医工連携研究を行う。医師が診断推論の過程で大切にするのは、年齢、性別、症状出現の発症様式、付随する症状、症状の性状がある。特に「症状の性状」を聞き出すには熟練が必要とされ、病院では様々な可能性を視野に入れた検査に依存した診断が行われがちである。本研究では、客観評価しにくい主観表現を定量化するシステムを様々な病気の診断支援に応用し、簡便な方法で病気の早期発見など診断推論を支援するシステムを開発し、有効性の実証を目指す。 研究初年度の2018年度に、倫理委員会の承認などを受けて外来診療データの取得が可能になったことから、目的1:「オノマトペや比喩による主観表現には体の不調の何が表されるのか」の解明のためのデータ収集を開始した。主として、順天堂大学でオノマトペや比喩による主観表現の収集を開始した。本研究課題では、オノマトペを構成する音韻に対象の属性が結びつくとされる“音象徴性”に着目し、痛みの強度や炎症値、病巣の広がりや深さといったデータとオノマトペを構成する各音韻の相関を解析することで、オノマトペに反映されやすいデータと反映されにくいデータ、オノマトペにしか現れないかもしれない体の不調の可能性についても追及を目指している。 目的2として、オノマトペで質感を表現してもらうことにより認知症の早期発見を目指す研究については、2019年度に、前年度までに行っていた実験の追試を行った。この結果を、2020年度に論文投稿を目指している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
目的1については、予定より遅れている。本研究開始以前に行っていた聖マリアンナ医科大学との共同研究で、通常診療の枠組みでの問診票によるオノマトペ収集を行った結果、受診者の40%弱からオノマトペの回答が得られることを確認していた。そのため、この実績に基づいて見込んだデータ量があったが、2019年度後半に新型コロナウィルスの影響で、研究補助者による問診データの取得が困難になったことにより、データ収集ができなくなった。2019年度に診断推論支援システムの構築を開始することとしていたが、達成されなかった。 目的2については、当初の計画通りに進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
目的1については、2019年度までの取得を目標としていたデータ量まで取得を達成したいが、新型コロナウィルスの影響次第である。当初はデータが取得され次第構築する予定だったシステム構築を、インターネットなどを活用するなど、他の方法で仮データを取得することで、先に構築することを検討している。目的2については、必要なデータ取得と解析は完了していることから、学術論文発表を目指す。
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Research Products
(10 results)