2018 Fiscal Year Annual Research Report
生体リズムに同期した環境刺激による生理的効能の探求-入眠・起床時における効能
Project/Area Number |
18H03320
|
Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
野村 収作 長岡技術科学大学, 工学研究科, 准教授 (80362911)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大平 雅子 滋賀大学, 教育学部, 准教授 (40616190)
浅野 裕俊 香川大学, 創造工学部, 准教授 (70453488)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 感性情報学 / アンビエント・フィードバック・システム / 生体医工学 / 引き込み現象 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、生体情報に同期した環境刺激によって人間の生理状態に介入し、人体の生理機能を誘導するための、新しい環境刺激の方法論を開拓することにある。人間の体は振動子の集合体であり、心臓・脳・呼吸・ホルモン分泌、それぞれが自己回復力を備えた固有振動子として振る舞い、全体として極めて安定的なシステム(「恒常性」)を実現している。恒常性は、生体を環境の外乱から守るための重要な機能である。しかしながら、例えば香によるリラックス効果が数十分しか持続しないように、恒常性は、しばしばヒトにとってポジティブな環境による影響も抑制してしまう。したがって、この頑健なシステムに介入し得る新しい方法論が必要である。鍵となるアナロジーはブランコの引き込み制御である。本研究の実施内容は「引き込み制御」の有効性と限界について、心拍動・呼吸などの周期の短い生理機能の誘導、およびホルモンなどの周期の長い生理機能の誘導について検証することにある。これらの課題については既に過去において各種環境刺激のフィードバック系を作成し、それらによる基礎となる研究成果がある、しかしながら、いずれのフィードバック系においても改善の余地が多く残されている。とりわけ、ハードウェアおよび自作ソフトウェアで発生する僅かな時間遅れは、各種フィードバック系に認知できる程のタイムラグを発生させている。これに対し、本研究計画においては過去に作成したフィードバック系を抜本的に見直し、一から装置系を刷新する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究のフィードバック系は、1)生体情報を取得する為の各種アナログセンサ群(センサ部)、2)取得された情報をデジタル情報へと変換してPCに取り込み、各種の生体情報に基づき環境刺激を適応的かつリアルタイムに調整する為の制御システム(制御部)、および、3)生体情報に基づき実際に環境情報(香り・音楽・映像・照明・物理刺激など)を変化させる環境刺激呈示システム(刺激部)からなる。本年度は、フィードバック系におけるタイムラグの問題を最小限に抑えることを目標に、各種アナログセンサ群、および、ハードウェア・インタフェースの仕様から見直し、システムを再構築した。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度以降は、本年度新たに構成した生体情報をフィードバックするヴァーチャル・リアリティ・システムを用いて、その生理的効果・影響について評価実験を行う。具体的には、既に作成した心拍動をフィードバックしたコンテンツにおいて、これまで実施してこなかった脳機能(脳波)の評価を含め、伝統的な被験者内計画デザインにより統計的評価に耐えうる実験規模で検証試験を実施する。またこれとは別に、姿勢―呼吸フィードバック・システムについてシステムを一新する。これまでは、空気枕方式によって仰臥位の被験者の姿勢を制御してきたが、これをサーボモーターにより直接的にベッドの床面を変鉛直方向に動作させる方式に置き換える。
|
Research Products
(7 results)