2019 Fiscal Year Annual Research Report
Research on sound design based on spatial saliency
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18H03324
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
添田 喜治 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 主任研究員 (10415698)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下倉 良太 大阪大学, 基礎工学研究科, 准教授 (90455428)
吉野 公三 関西学院大学, 理工学部, 准教授 (10358343)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 顕著性 / 好ましさ / 両耳間相互相関度 |
Outline of Annual Research Achievements |
騒音環境における音の顕著性が脳でどのように処理されるかを調べた.室内騒音のスペクトルを模擬したホス騒音,平均的な地下鉄駅構内騒音のスペクトルを模した騒音,実測自動車内騒音下で6種類の鳥の鳴き声(イカル,ウグイス,カケス,カッコー,ツツドリ,メジロ)に対する脳磁界反応と主観的顕著性を測定した.脳磁界反応から誘発リズム活動強度を推定し,スパース回帰分析を用いて,鳥の鳴き声の主観的顕著性と誘発活動強度との関係を調査した.スパース回帰分析の結果,主観的顕著性は,前頭部のアル波帯域(8-13 Hz),後頭部のベータ帯域(20-30 Hz),およびガンマ帯域(30-50 Hz)の活動強度によって予測することができた.頭頂部,前頭部のアルファ帯域,および頭頂部のガンマ帯域活動強度は,鳥の鳴き声と騒音条件の両方で大きく異なった.これらの結果は,前頭アルファ帯域の活動が鳥の鳴き声の顕著性に関連していること,および頭頂ガンマ活動が騒音環境下の顕著性の違いに関連していることを示している.これらの結果は,騒音環境下での顕著な鳥の鳴き声がボトムアップ注意ネットワークを活性化することを示唆している. 航空機騒音は,移動音源であり,空間的な顕著性が人間の心理・生理反応に影響を及ぼす.航空機騒音に対する心理的反応を,音の3つの主要な知覚的側面(不快度,大きさ,高さ)により評価し,心理的反応と物理的要素の関係を求めた.その結果,主観的不快感には,騒音レベル,騒音レベルの時間変動,スペクトル重心,主観的な音の大きさには,騒音レベルとスペクトル重心,主観的な高さは,騒音レベルとスペクトル重心,が優位に影響を及ぼす要素であることが分かった.空間的顕著性と関わる両耳間相互相関度は,主観的な大きさや不快度と負の相関関係が見られ,空間的に顕著でない航空機騒音の方がより大きく,不快であることが示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
空間的顕著性や好ましさに影響を及ぼす物理指標を明らかにし,さらに顕著性と対応する脳活動を明らかにした.
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Strategy for Future Research Activity |
鳥・虫の鳴き声だけでなく,より短い過渡音や長い持続音についても,空間的顕著性に関わる物理指標,生理反応を明らかにする.
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