2020 Fiscal Year Annual Research Report
人工神経細胞回路の複雑ダイナミクスに基づく時系列情報処理とそのモデル化
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18H03325
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山本 英明 東北大学, 電気通信研究所, 准教授 (10552036)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 茂雄 東北大学, 電気通信研究所, 教授 (10282013)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 培養神経回路 / バイオインターフェース / マイクロ加工 / 多細胞システム / 生体情報処理 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,神経回路網を多細胞システムとして捉え,その情報処理をボトムアップに解析する実細胞実験系を構築することを目指している.昨年度までに,培養神経回路において見られる非生理的な同期バースト発火を抑制する細胞操作技術の開発,ならびに培養神経回路に摂動を与えるための光インターフェースを確立することができた.課題3年目の令和2年度は,これらの技術を統合し,マイクロ加工基板上でパターン培養した培養神経回路に対して時空間パターン刺激を印加し,ネットワーク構造依存的な入力応答の解析を進めた.実験を先導する形で,積分発火ニューロンモデルを用いた計算機シミュレーションによる解析も進めた.マイクロパターン基板を用いて作成したモジュール構造型神経回路に対応するネットワークモデルをstochastic block modelを用いて作成し,その回路に3種類のパルス電流入力を与え,出力層の結合荷重値をリッジ回帰により学習させたうえで,ネットワークの分類性能を評価した.モジュール間結合の形成確率を調整することにより作成したモデルを比較したところ,異なる刺激に対する分類性能は中程度のモジュール性をもつ回路において極大をとることが分かった.モジュール間結合密度が小さいときは情報伝達されず分類性能が低下し,モジュール間結合密度が大きいときはバースト発火により分類性能が下がると考えられる.そしてモジュール間結合が中程度のところでは両方のバランスが良く高い分類性能が保たれると考えられる. 並行して,マイクロ流体デバイスを用いて微小培養神経回路のモジュール性を制御する手法を確立し,原著論文として発表した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験ならびに計算機シミュレーションの両方のアプローチから,マイクロパターン培養神経回路の入力応答解析が進められている.
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Strategy for Future Research Activity |
機械学習の分野において提唱されているリザーバ計算のモデルとの対照を通じて,培養神経回路の大自由度動的システムとしての特性ならびにそのネットワーク構造依存性を評価する.
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